200万個の地雷が埋まった朝鮮半島 解決の糸口を探る講演会

プラスチック製のM14地雷を手に、その脅威を説明する趙教授

また、地雷は軍事作戦に基づいて埋設されるため、設置場所、数、種類といった情報が残されるはずだが、かつて米軍基地に使用されていた土地などではその記録が残されておらず、地雷処理を遅らせる要因になっていると指摘した。加えて、北側が設置したロシア製の対人地雷はプラスチックや木でできているため、金属探知機に反応しないこと、山や渓谷に埋設された地雷は機械による除去が困難であると説明。韓国軍が毎年4億4000万円の予算で約500発の地雷を処理しているものの、「このペースでは、全ての地雷を除去するまでに約500年かかる」と語った。

さらに、南北両国の外交交渉で、非武装地帯に残された朝鮮戦争犠牲者の遺骨収集、軍事境界線をまたぐ鉄道や道路の整備といった共同事業が協議されるものの、地雷が実現の障壁になっていると言明。地雷の処理を早急に進めるため、タイやカンボジアで地雷除去の実績のある国際NGOに作業を委託できるよう国内法を整備する必要があると述べた。

その上で、地雷問題の解決には、地雷の使用、生産、移譲を禁じるとともに、地雷の除去、被害者支援を課している「対人地雷禁止条約(オタワ条約)」の批准が重要になると強調。軍事的緊張関係にある両国は、国防上の理由から地雷を放棄できないとして同条約を批准していないが、今後、和平が進めば、朝鮮戦争の終戦に向けた協議と、同条約の批准について同時に進めていけるのではないかと話した。