巨人軍V9メンバーの黒江氏 佼成球団のユニフォームで始球式

巨人軍V9に貢献した黒江透修氏(79)が佼成球団のユニフォーム姿でマウンドに立った。7月23日、東京ドーム(東京・文京区)で行われた第89回都市対抗野球(毎日新聞社、日本野球連盟主催)の準決勝第2試合の始球式でのこと。黒江氏は巨人入団前、社会人野球に登録していた立正佼成会野球部「佼成球団」で活躍した。

1964年、佼成球団は社会人野球東京支部大会を連覇した。優勝旗を持つ黒江氏(左端)

佼成球団は1952年に発足して67年まで活動し、都市対抗野球には65年、67年に東京都代表として出場した。黒江氏は、社会人野球の杵島炭鉱(佐賀)、日炭高松(福岡)を経て、61年に佼成球団に入団。この間、杵島炭鉱の選手のほか、他チームの補強選手として都市対抗野球に4度出場し、特に、熊谷組(東京都代表)の補強選手として出場した第35回大会(64年)では、8打席連続安打、2本塁打を含む18打数12安打(打率.667)、1試合5盗塁を記録し、特別賞を受賞した。

翌65年、巨人に入団。9年連続セ・リーグ優勝、日本一を成し遂げた「V9」メンバーの遊撃手として、王貞治氏、長嶋茂雄氏らと共に活躍した。引退後は、巨人のほかダイエー(当時)や西武など多くのチームでコーチを務めた。

始球式後にインタビューを受ける黒江氏

始球式では、黒江氏が最も長く在籍した社会人チームである佼成球団のユニフォームを着用。これは、当時の記録から書体などを再現し、デサント社によって復刻されたもので、左の袖には本拠地を示す「TOKYO」の文字も施されている。振りかぶって投じた一球がワンバウンドで捕手のミットに収まると、観衆から大きな拍手と歓声が送られた。

始球式を終えた黒江氏は、「ストライクを放ろうと思ったけれど……、やっぱり、届かなかった」と苦笑い。復刻されたユニフォームについて、「袖を通すのは五十数年ぶり。本当に懐かしくて、当時の思い出がよみがえる。僕自身は都市対抗野球に4度出場したけれど、佼成球団が出場したのは、僕がプロになった年。できれば、佼成球団の一員として出場を果たしたかった」と振り返った。