200万個の地雷が埋まった朝鮮半島 解決の糸口を探る講演会

韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線をはさんで南北に2キロの幅で非武装地帯が設定されているが、両国によって数百万個といわれる地雷が埋められている。今年4月の南北首脳会談や6月の米朝首脳会談による朝鮮半島の緊張緩和を受けて、地雷の実態と除去に関する講演会が7月19日、東京・新宿区の早稲田大学で行われた。テーマは『朝鮮半島の緊張緩和と地雷問題』。NPO法人「地雷廃絶日本キャンペーン」(JCBL)と「アーユス仏教国際協力ネットワーク」が共催した。

早稲田大学文化構想学部の金教授

『南北首脳会談と米朝首脳会談の評価と展望について』と題して講演した早稲田大学文化構想学部の金敬黙(キム・ギョンムク)教授は、「二つの会談は、東アジアの軍事的緊張の高まりを緩和したという意味で、成功だった」との見解を示した。また、米朝首脳会談では朝鮮半島の非核化に向けた具体策が明示されず、北朝鮮が核兵器を隠し持つ可能性への懸念が一部識者から挙がっていることに対して、「核兵器は保有を公言し、他国に脅威を認識させることによって抑止力として機能する性質があるため、秘密裏に核兵器を保有するメリットを見いだせない」と指摘。「現段階では、北朝鮮を巡る各国の外交交渉を失敗と評価する材料が見当たらない」とし、今後の動向を注視したいと述べた。

続いて、地雷禁止を求める韓国のNGO「Peace Sharing Association」代表で延世大学連合神学大学院の趙載国(チョウ・ジェグク)教授が、『韓国の地雷使用の実態と除去に向けて』をテーマに講演した。趙教授は、朝鮮戦争が始まった1950年以降、地雷が継続的に埋設され、その数は推計で、軍事境界線の北側に80万発、南側に127万発と解説。韓国側の地雷原は、非武装地帯に限らず、民間人の立ち入りが可能な範囲にも存在しており、中には、山の斜面に設置された地雷が降雨や土砂崩れによって川に流出し、これに触れた民間人が犠牲になるといった事例も報告されていると述べた。

【次ページ:韓国、全ての地雷除去に約500年】