WCRP/RfP日本委が学習会 宗教的マイノリティーであるヤズディ教徒の迫害の現状を学ぶ
講演者の一人、メルザ氏は帰還した女性たちのトラウマ(心的外傷)の治療に携わっている。講演の中で、宗教施設や学校、病院が全て破壊され、遺体の山ができたと、襲撃を受けた直後の状況を詳述。海外へ逃れようとした人の中には、海を渡る途中で命を落とす人もいたと語った。また、国内にとどまった人の多くは各地の避難民キャンプで暮らし、現在も約17万人がライフラインの途絶えた中で生活していると窮状を訴えた。
さらに、拉致された女性の一部が帰還できたのは、イスラーム教徒の人々が危険を冒してまでも脱出を手助けしてくれたからと説明。一方、IS戦闘員の殺りくは、宗教の名を借りた蛮行であると非難し、「イスラームもキリスト教も仏教も、宗教は全て平和のためにある。宗教は、人々に平和と正義をもたらすことができるはずだ」として宗教が本来果たすべき道を示した。
この後、質疑応答が行われた。「日本人にできる具体的な支援は何か」との質問に対し、メルザ氏は、ISの行為は国際人権法違反の「ジェノサイド(集団殺害)」にあたり、この事実を日本政府にも認めてほしいと強調。ISによる拘束でトラウマを負った女性や子供への治療、避難民キャンプで生活する人々への物的支援の必要性を語った。
将来の展望について問われたタフシーン師は、国際会議でヤズディ教徒の国際的な保護を求めてきたことに触れ、「私たちが望むのは、かつてのような平和な暮らしです。あらゆる宗教の人たちと共に歩みたい」と答えた。
また、学習会に先立ち、タフシーン師は、同日に大聖堂で行われた「脇祖さまご命日」でスピーチに立った。