日本にもある児童労働 実態調査を行うACEがセミナーを開催
この後、琉球大学の上間陽子教授、ライトハウスの坂本新事務局長、首都圏青年ユニオンの原田仁希執行委員長がそれぞれ報告した。
『裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち』の著者で、風俗業界で働く若者や若年出産をした女性への聞き取りを行っている上間氏は、若年出産者48人のうち約8割が風俗業界に勤めており、就労開始年齢が14歳前後の人も複数いたと報告した。風俗で働き始める主な動機は「遊ぶ金が欲しい」「居場所が欲しい」といった理由が挙がってくるが、その境遇を尋ねると家庭の機能不全に行き着くことが多く、子育てが機能していない家庭では、子供を学校や地域につなぎ留めておくことも難しいために、若くして風俗業界に身を寄せるようになるとの見解を示した。
加えて、風俗で客からレイプされるといった性被害を受けても、犯罪であると認識できなかったり、自身の被害を言葉にすることが難しかったりと、子供にとって被害を訴えることができないといった問題を指摘。社会全体で考えなければならず、「家族に任せていればいいという状況ではない」と強調した。
『商業的性的搾取に組み込まれる子供たち』をテーマに報告した坂本氏は、アダルトビデオへの出演や売春の強要、自画撮り被害など、増え続ける相談の実例を紹介。「既存の体制、支援の枠組みではどうしても助けきれない子供たちが大勢いる」と現状を紹介し、社会への意識啓発と取り締まりのための法整備の必要性を訴えた。ブラックバイト問題に取り組む原田氏は、子供たちを守るには、「労働問題を含め、格差と貧困への取り組みが根本的解決につながる」と述べた。