アフリカを理解し支援に向けた協働のあり方を探る 「アフリカの新たなビジョン 東京国際会議」

聖エジディオ共同体のプログラムによるHIVの治療を受けたカウォンガ氏

聖エジディオ共同体でコーディネーターを務めるパセム・スーザン・カウォンガ氏は、自らがHIV(ヒト免疫不全ウイルス)陽性と診断された体験に触れ、治療環境の整わないマラウイで生きていられるのは「薬だけではなく、友情のおかげ」と強調した。カウォンガ氏は、同共同体がマラウイでエイズ患者の健康状態の改善や、HIV陽性者の母子感染予防に取り組むプログラム「DREAM(Disease Relief through Excellent and Advanced Means)」を通じて治療を受けた。その後、ボランティアとして同プログラムに参画し、現在は、コーディネーターとして患者に寄り添う立場にある。人を支える役割を得ることで、生きる意味を見いだすことができたと述べ、同共同体との出合いを「本当の意味での友人を見つけた」と喜びを語った。

また、会議では、千葉大学大学院の小林正弥教授による聴衆参加の対話型講義「アフリカ白熱教室」も行われた。小林教授から提起されたアフリカの諸課題について、参加者は色紙を掲げ、「そう思う」「そう思わない」「どちらともいえない」という意思を示し、希望者が手を挙げて意見を述べる形で講義を展開。アフリカの「開発」は、食糧などの生活面と、教育などのソフト面のどちらが優先されるべきか、開発途上国も気候変動問題に取り組むべきか、支援の尺度を経済的な指標で表すことが正しいのか、などについて議論した。ステージには、政治家、宗教者らがパネリストとして上り、聴衆の意見に対して専門的な視点から見解が示された。

会議の最後には、一日の議論を総括した宣言文「2018 共同の呼びかけ」が上智学院の佐久間勤理事長と本会の川端健之理事長によって読み上げられた。