軍隊を持たないコスタリカ その軌跡を追った映画の監督が来日

憲法で軍隊の保有を禁じ、大国からの圧力や隣国による侵略に対抗する手段として“平和外交”を進めてきた中米コスタリカ。その軌跡を追ったドキュメンタリー映画の上映会と「監督来日シンポジウム」が4月27日、日比谷コンベンションホール(東京・千代田区)で行われた。5月3日の憲法記念日に合わせ実施されたもので、主催はユナイテッドピープル株式会社。144人が来場した。

同国は1949年に、常設機関としての軍隊の禁止を盛り込んだ現憲法を制定し、70年にわたり非武装と外交では積極的中立を保ってきた。憲法制定以前に軍事費に充てていた国家予算を教育や医療、社会福祉、環境保全の分野に活用し、中米で最も安定した民主主義国として知られる。国民の満足度や環境への負荷から国の幸福度を測る「地球幸福度指数(HPI)」(2016)では、140カ国中1位となった。

87年には、紛争が続いていた中米に和平合意を成立させたオスカル・アリアス・サンチェス元大統領が、平和と安定をもたらした功績により、ラテンアメリカの元首として初めてノーベル平和賞を受賞した。

映画「コスタリカの奇跡」の上映後に行われたシンポジウムでは、共同制作者のマシュー・エディー、マイケル・ドレリング両監督、国際ジャーナリストの伊藤千尋氏、大阪国際大学准教授の谷口真由美氏が登壇した。

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