第35回庭野平和賞受賞記念講演 アディアン財団のファディ・ダウ理事長 

聴衆の皆さま、兄弟姉妹の皆さま

平和とは、多くの宗教において、神の数ある名前の一つです。それゆえ、平和は私たちの遺産であり、未来であると信じています。従って私たちは、平和の構築という使命から逃れることはできません。

庭野平和賞受賞者である神学者のハンス・キュング氏は、「諸宗教間の平和なくして、世界(諸国家間)の平和はない」と述べています。私は今日、この言葉を、「もし私たちに平和なくして宗教はない」と言い換えてみることもできるのではないかと思います。申し上げたいことは、宗教も、諸宗教協力も、平和への重要な道であるということ――平和の実現は、宗教の本来の信仰と諸宗教協力への道であるということです。

もし宗教が紛争と憎しみを正当化するための道具であり続ける、また、「多様性を容認し、共に連帯し、人の尊厳のために尽くし尊ぶこと」ができなければ、宗教はその力と信用を失うでしょう。本日、頂戴(ちょうだい)する賞は、たとえ多くの犠牲を払おうとも、私たちが平和への希望と、宗教さらには人類への信頼を失うことがないよう働くべきであることを、日々思い出させてくれるでしょう。

2006年のアディアン財団創設当初から、私たちはこの使命のために働いてきました。本日から再び、このビジョンのために力を尽くしていきます。私たちの歩む道には、庭野平和財団のグローバルコミュニティーに代表されるパートナー、兄弟姉妹がおられることを胸に刻みながら、私たちはさらに前進していきます。

平和は、闘って勝ち得るに値する唯一のものです。喜びと誇りを持って、勝利のために共同して闘ってまいります。

(文責在編集部)

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