世系に基づく差別撤廃を 国連とNGOが国際シンポジウム
血統や出自など、「世系」に基づく差別を受けている人は、世界で2億6000万人に上る。その多くはカースト制度の影響が続くインドやネパール、バングラデシュといった南アジアに集中しているが、世界各地に被差別民のコミュニティーが存在し、日本にも部落差別の問題がある。
4月12日、「世系に基づく差別撤廃のための国際シンポジウム――国連と市民社会の協力」が東京・千代田区の衆議院第一議員会館で開催された。国際人権NGOの「反差別国際運動」(IMADR)と、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)共催によるもので、国会議員ら約130人が参加した。IMADRの活動に協力する「『同和問題』にとりくむ宗教教団連帯会議」(「同宗連」)に加盟する教団の宗教者も参加し、立正佼成会から柿澤伸光総務部次長が出席した。
当日は、OHCHRマイノリティー権利アドバイザーのミシェル・ブトー氏が世界の現状について基調報告。ブトー氏は、「世系に基づく差別との闘いには忍耐と決意が必要」とし、特定の人々に向けられる偏見や固定観念をなくすため、国連と市民社会、政府機関が連帯を強めることが重要と語った。
さらに、「世系」による差別を受ける女性たちは、加えて性差別を受けていることが多く、複合差別に苦しんでいる現状があると指摘。2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)で掲げられている「誰ひとり置き去りにしない」というスローガンに触れ、「何億人もの人々の苦しみを長年にわたる因習のせいにすることはできない」と強調した。