世系に基づく差別撤廃を 国連とNGOが国際シンポジウム

この後、人権問題に取り組む4人の代表者が発言。国連人種差別撤廃委員のリタ・イザック・ンジャエ氏は、日本の部落差別の歴史に言及し、出自や住む地域によって就職や婚姻、教育の差別が依然として存在する状況を報告した。

この問題について、部落解放同盟中央執行委員の山崎鈴子氏は、2006年から13年にかけて行われた被差別部落に住む女性へのアンケート調査(7府県で実施)を基に、非識字者や不安定な就労状況にある人の割合が高いといった結果を示し、差別の影響が明らかになったと発表。国連の女性差別撤廃委員会から日本政府に、マイノリティー女性への差別撤廃のための措置を取るよう日本政府へ勧告が出されてきたものの、対策が講じられていないと訴えた。

国際条約の観点から発言した大阪歯科大学講師の李嘉永氏は、人種差別撤廃条約の「世系」の概念に「部落差別は含まない」とする日本政府の見解が、問題解決のハードルになっていると指摘した。インドの差別問題に取り組むポール・ディバカー氏は日本政府に対し、科学技術やイノベーションだけでなく、人権の分野においても「グローバルリーダーとしての役割を果たしていく必要がある」と語った。