アラブ地域の平和的共存に向けKAICIIDがハイレベル会合 光祥次代会長がスピーチ

『平和のための諸宗教対話――平和的共存と共通の市民権を促進する』をテーマに「アブドッラー国王宗教・文化間対話のための国際センター」(KAICIID)によるハイレベル会合が2月26、27の両日、ウィーンのホテルで行われた。KAICIID理事を務める立正佼成会の庭野光祥次代会長が出席し、閉会式でスピーチを行った。

KAICIIDでは、イラクやシリアなどアラブで起きている、宗教の名を借りた暴力行為を防ぐため、昨年から諸宗教間対話のプラットフォーム(土台となる組織やネットワークなど)の創設に取り組んできた。今回のハイレベル会合は、この「アラブ世界における宗教間対話・協力のプラットフォーム」の発会を伴うもの。アラブ諸国の国会議員や政府関係者、宗教指導者、国連関係者を中心に約280人が参加した。

開会式に続いて行われた同プラットフォーム発会式では冒頭、異なる文化や宗教を持つ人同士の相互理解を促進し、平和的共存と公平な市民権の確立を図るという同プラットフォームの趣旨が紹介された。次いで、キリスト教諸教会、イスラームの代表13人がスピーチ。暴力が頻発する現状を踏まえ、各人が対話や信頼醸成の重要性を訴えた。

この後、ハイレベル会合では2日間にわたって、『社会的結束のための諸宗教対話』『対話に向けた世界的パートナーシップと社会的結束の推進』『諸宗教教育と共通の市民権という価値観』『対話の場としてのソーシャルメディア』と題したパネルディスカッションを実施。平和的共存や全ての人々の権利を確立するため、主に政治家、宗教者の役割について意見が交わされた。

閉会式では、KAICIIDの理事の一人として光祥次代会長が登壇。あいさつの中で、「人間の本質とは、利己的な暴力と利他的な思いやりの両方が同居する『弱さ』ではないか」としながら、それでもなお、「私は人間を信じたいと思います。なぜなら、根源の『弱さ』を制御し、歴史に挑戦をした多くの人々がいたからです」との考えを披歴した。その上で、一人ひとりが自らの暴力性を自覚する大切さを強調。宗教の違いを超えて隣人を大切にする共存のシステムを築いていくため、「対立していると思い込んでいた相手と対話をしましょう。協力できないと思い込んでいた人々と、共に祈り、行動しましょう」と語り掛けた。

なお、光祥次代会長は2月28日にKAICIIDのアドバイザリー・フォーラムに、3月1日には同理事会に出席した。

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