佼成学園高3年の井川さん アブラムシの生態研究が高く評価され、科学コンテスト「ISEF」の日本代表に

日本科学未来館でのプレゼンテーションの様子(2017年12月)

専門家らの協力を得て、新たな知見

その後、東京近郊のさまざまな場所から、ガマとショウブに集まる個体を採集。公的研究機関に所属する専門家らの協力を得て、標本作製による詳細な形体の観察と、遺伝子解析を行った。すると、ガマに集まる個体とショウブに集まる個体とでは、いずれも形体は異なるものの、種の同定の際に用いられる遺伝子は99%一致するという興味深い結果が得られた。さらに、ショウブに集まる個体の遺伝子にはいくつかの違いが見られた。

井川さんは、これまで別種とされてきた両者が同種であり、ガマに集まる個体からショウブに集まる個体が派生した可能性が極めて高いとの結論に至る。この研究から、アブラムシが葉の成分によるすみ分けを行うなど、昆虫の進化に関して新たな知見が得られた。防虫剤開発など農学研究への応用も期待される。

一昨年の日本学生科学賞優秀賞受賞に続き、今回、手にしたISEF日本代表。現在は、英語でのスピーチ練習に余念がない。井川さんは、「上野先生をはじめ、多くの人たちに支えられ、大きな成果を上げることができました。今は、研究が楽しくて仕方ありません。世界大会でも優秀な成績を収めたい」と笑顔を見せた。