仏教と自死に関する国際シンポジウム(関東版) 国内外の仏教者、専門家が発表

『仏教と自死に関する国際シンポジウム』(関東版=主催・孝道教団・国際仏教交流センター)が、11月6日から8日まで、神奈川・横浜市の孝道山本仏殿を会場に開催された。仏教を中心に国内外の宗教者、専門家ら約80人が一堂に会し、自死を防ぐための取り組みについて議論した。9、10の両日には、同シンポジウム(関西版=主催・浄土真宗本願寺派総合研究所、龍谷大学世界仏教文化センター)が京都市で行われた。

今年の『自殺対策白書』によると、日本の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は、諸外国と比べ、ワースト6位(WHO統計資料から抽出)。昨年の自殺者数は2万1897人で、7年連続で減少しているものの、15歳から39歳までの死因1位は「自殺」で、事故による死亡率を上回る。一方、経済発展が著しいインドなどの新興国では自殺者が急増、社会問題化している。今回のシンポジウムは、国内外の実状を踏まえ、海外を含めた仏教者が対話を通して「自死問題」の解決の糸口を探ることを目的に開かれた。

冒頭、川崎市精神保健福祉センターの竹島正所長と津田多佳子保健師が、国内自殺者の実態と対策を報告。竹島氏は、自死念慮者に対して、家族や友人などの近しい関係者が、兆候に「気づくこと」、専門機関に「つなぐこと」、「見守ること」が防止への重要なポイントになると強調した。津田氏は、介護や虐待問題に取り組む行政の職員と地域住民が連携して「自助」「共助」「公助」「互助」といった支え合いの体制を整えることが急務と訴えた。

この後、仏教者から、自死予防と防止のための取り組みが発表された。

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