バチカンで第5回「行動の倫理」、ローマでWCRP/RfP国際委の国際フォーラム 光祥次代会長が出席
10月16、17の両日、バチカンで第5回「持続可能で不可欠な開発に向けた行動の倫理」会議(通称=「行動の倫理」会議)が開催された。続く同18、19の両日には、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会主催の国際フォーラムがイタリア・ローマ市で行われ、二つの国際会議に立正佼成会から、WCRP/RfP国際共同議長を務める庭野光祥次代会長が出席。両会議の席上、仏教徒としてスピーチを行った。
光祥次代会長は10月16、17の両日、バチカン庭園内「ピオ四世のカッシーナ」で開かれた「行動の倫理」会議(ローマ教皇庁科学アカデミー、同社会科学アカデミー、WCRP/RfP国際委員会、ノートルダム大学による共催)に出席した。同会議は、ローマ教皇フランシスコによる回勅「ラウダート・シ」に示された、「地球という私たち共通の家について全世界の人と対話をしたい」との願いを受けたもの。5回目となる今回は『教育』をテーマに議論された。同科学アカデミー会長のマルチェロ・サンチェス・ソロンド司教をはじめとする諸宗教指導者や、WCRP/RfP国際委のウィリアム・ベンドレイ事務総長、国連事務総長特別顧問のジェフリー・サックス博士ら経済学者、企業経営者、政治家、研究者、NGO代表など約50人が参加した。
光祥次代会長は17日、国連で採択された「持続可能な目標」(SDGs)の第4項目の「質の高い教育をみんなに」を取り上げた『SDG4のための倫理に関する宗教的展望』と題したセッションでスピーチを行った。この中で、SDG4を実現させるには、「全ての物事は、縁(よ)りて起こる」という仏教の縁起観が有効であると強調。「私は私以外の全てに支えられて存在する」という視点を持つことが「共生」へ導くと述べた。
また、人はそれぞれに「能力」があり、誰もが万能ではなく「欠如」を有している点で「共通の存在」であると説く、全盲と全ろうの障害のある福島智・東京大学先端科学技術研究センター教授の論文を引用。「支え合って存在する、互いに欠如を抱えた者同士が出会うことで、お互いが他者から欠如を満たしてもらうという考えに立つことが大切」と語った。
さらに、「親子で取り組むゆめポッケ」キャンペーンの活動で、7年前に長女と共にフィリピン・ミンダナオ島を訪れた体験を述懐。日本とフィリピンの子供たちが、言葉は通じなくても、互いを理解しようとする中で友情が芽生えた様子を挙げ、「これから必要なのは、世界の多様性を理解し、物理的に手の届かない人への思いやりや想像力を持てるような人を育てること」と結んだ。
このほか、WCRP/RfP国際共同議長のジョン・オナイエケン・カトリック枢機卿(ナイジェリア・アブジャ大司教)や、デビッド・ローゼン米国ユダヤ人協会諸宗教対話部長、国連教育科学文化機関(ユネスコ)のイリナ・ボコバ事務局長らが発表した。
また、2日間の会議では、『新たな倫理教育の優位性と重要性』『社会的受容のための新しい教育戦略』などに関する会合が開かれた。識字率の低迷を中心に、開発途上国が抱える教育の課題、さらに幼児教育、倫理教育の重要性などについて、宗教や政治、経済の観点から意見が交わされた。
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