『森づくりと人づくり』テーマに学習会 WCRP/RfP日本委
『森づくりと人づくり』をテーマに公開学習会が10月16日、立正佼成会の普門メディアセンター(東京・杉並区)で開催された。主催は、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会気候変動タスクフォース。宗教者や研究者など約20人が出席した。
同タスクフォースは、同日本委の特別作業部会の一つ。世界的な緊急課題とされる地球温暖化に対し、宗教者の取り組みを促進させることを目的に、昨年、設置された。「WCRPいのちの森づくりプロジェクト」を立ち上げ、埼玉・所沢市での植林活動、青少年への環境教育などを実施している。
今回の学習会は、日本の気候・風土と森林の現状を学び、森づくりに必要な要素について理解を深めるとともに、宗教者が取り組むべき活動を考えるために開かれた。
学習会では、同タスクフォースの薗田稔責任者(秩父神社宮司)のあいさつに続き、活動報告として同プロジェクトの進捗(しんちょく)状況が発表された。
この後、『森づくりと人づくり――森の仕組みと人のかかわり』と題して、東京農業大学の濱野周泰教授が基調講演を行った。濱野氏は冒頭、「地球の資源を永続的に活用できるかは、今後の人類の活動にかかっている」と指摘し、全ての動物の命を維持する根源は植物であると説明。人間にとって生活の基礎となる食料や水を供給し、精神的な安らぎ、潤いを与えてくれる森は、生命を維持するために不可欠な空間と強調した。
さらに「森」と「林」の違い、「森林」の変遷などを解説した。特に、カリウムやリンなどの肥料を含んだ土壌によって農作物などの生産物をもたらし、人間生活に密接に関連してきた「里山」の働きと管理のあり方に言及。里山に対する社会の価値観が「生産」から「環境保全のため」へと変化する中で、「里山の再生や維持には、地域住民がどのような姿で残していくかを考えることが重要」と強調した。
また、全国各地の森づくりの取り組みを紹介し、自然との触れ合いは子供の情操心を育み、人々の結び付きを強めると話した。
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