TKWO――音楽とともにある人生♪ テューバ・近藤陽一さん Vol.3
東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)への入団に感謝し、支えてくれる皆の恩に報いるため、近藤陽一さんは聴衆に最高の音楽を届けられるよう、今も努力を重ねる。最終回では、楽団におけるテューバの役割、そして練習でのこだわりについて聞いた。さらに、吹奏楽に取り組む中高生へのメッセージを紹介する。
より良い演奏を行うために
――吹奏楽団と管弦楽団とでは、テューバの役割に違いがありますか?
低音を支える楽器には、弦楽器のコントラバスと管楽器のテューバがあります。管弦楽団のコントラバスは曲全体の低音部を支える主役であり、テューバは金管楽器セクションの低音を支える存在で、どちらかというと脇役に近いものがあります。
それに対し、吹奏楽団でのテューバは、管弦楽団におけるテューバの役割だけでなく、コントラバスのような役割も担います。具体的には、管弦楽団における金管楽器セクションの役割だけでなく、吹奏楽団では木管楽器やトロンボーンと共に、曲全体を支えるような役割も担うのです。このように、吹奏楽団におけるテューバの役割は多岐にわたっていて、それだけに出番も多くなります。でも、どちらの楽団の場合も、課せられた役割はそれぞれ重要なものであることに違いはありません。
――より良い演奏を目指すために、近藤さんがこだわっていることはありますか?
普段の演奏や毎日の練習の時のチェックや感覚は大切にしています。例えば「音が揺れる」、あるいは「外れる」といった感じがある時は、息をより多く込めて吹こうとしないで、息を吸う方に意識を集中するようにしています。なぜそうするかというと、吸うことが十分にできていないことが原因である場合が多いからです。空気を吸えば吸うほど、その後は勝手に吐き出せるので、それを基本に息継ぎ(ブレス)にかかる時間、息継ぎの取り方、取る回数などを細かくチェックし、ブレスをしっかり取るようにしています。
また、肺活量を維持するために定期的に公営のプールに行き、毎回、1時間くらい連続して泳ぐようにしています。1キロの距離をクロールや平泳ぎで泳ぎ切るのですが、特に平泳ぎの時には息継ぎの仕方を工夫し、顔をつけたまま平泳ぎの一連の動作を水中でゆっくりと2回行って、体中の息を使い切った後に息継ぎを1回することを繰り返しています。これはテューバのロングトーンの練習にも通じますし、現在の自分がどのくらいの音量でどのくらい長く吹けるのかを感覚的に把握しておくのにも非常に役立っていると思います。