TKWO――音楽とともにある人生♪ アルトクラリネット・新井清史さん Vol.2

カトリック信者として佼成ウインドで活躍

――佼成ウインドとの出合いは

高校生の時、佼成ウインドの前身である佼成吹奏楽団の演奏をレコードで初めて聴きました。一緒に収録されていた他の楽団などと比べて演奏にまとまりがあり、ハーモニーもきれいで、感動したのを覚えています。ぼくが佼成ウインドの演奏に携わるようになったのは、音大を卒業後、フリーの奏者としてさまざまなオーケストラに呼ばれ、演奏していた時期に、エキストラとして呼んで頂いたことがきっかけです。

何度かエキストラとして共演する中で、ある時、佼成ウインドのマネジャーから年間予定表をパッと渡され、「日程を空けておいてほしい」と言われました。マネジャーとしては毎回エキストラを探すのが面倒くさかっただけかもしれませんが、年間予定表を渡されるということは、ぼくの演奏を認め、信頼してもらえたわけですから、とてもうれしいことでした。それ以来、常設エキストラとして演奏しました。

しばらくして、佼成ウインドで団員を増やすという話が出たそうです。その時に推薦してもらい、オーディションを受けて入団しました。オーディションでは、普段一緒に演奏している団員の前で吹くわけですから、観客の前で演奏する以上に緊張し、すごくプレッシャーを感じましたね。

――佼成ウインドの活動で、印象に残っていることは

佼成ウインドの創立者である立正佼成会の庭野日敬開祖が亡くなった際に、大聖堂で行われた法要が最も印象に残っています。法要では妻が編曲した「越後の子守唄」を佼成ウインドが演奏しました。

キリスト教には賛美歌や聖歌があり、仏教には声明(しょうみょう)や仏賛歌などがあるように、音楽と宗教の儀礼儀式は切り離せません。実は、ぼくたち夫婦はカトリック信者なのですが、プロの吹奏楽団を有する宗教団体は佼成会だけで、ぼくのようなカトリック信者が仏教の団体が基の楽団に在籍している――これはよく考えてみると、とてもすごいことだと思います。ぼく自身、小さな宗教協力ができているようで、うれしいご縁を頂いていると感じています。

プロフィル

あらい・きよし 1958年、東京都生まれ。国立音楽大学在学中に東京クラリネット・アンサンブルのメンバーになり演奏活動を始める。同大学を卒業後はオーケストラやソロなどフリーランスとして活動した。93年、東京佼成ウインドオーケストラに入団。現在、洗足学園音楽大学非常勤講師、日本クラリネット協会執行理事を務める。