命が喜ぶ生き方を 『命の授業』講演家・腰塚勇人氏

喜びを分かち合うための「五つの誓い」

ケガをするまで、命は当たり前だと思っていました。でも、体が動かなくなり、命があること、家族がいること、仕事ができることがどれだけ幸せかをとても感じました。

たくさんの人に助けられて社会復帰できた時、自分の命の使い方について真剣に考えました。そして、命が喜ぶ生き方をしようと決め、五つの誓いを立てました。

「口は人を励ます言葉や感謝の言葉を言うために使おう」「目は人の良いところを見るために使おう」「耳は人の話を最後まで聴いてあげるために使おう」「手足は人を助けるために使おう」「心は人の痛みが分かるために使おう」

実はこの五つの誓いを、私は自分に対しても実践しています。自分にできないことは人にはできないと思うからです。自分が笑顔でいるからこそ、人を笑顔にできる。自分が幸せや喜びを感じながら生きているからこそ、周囲の人たちと分かち合うことができる。自分を大事にできるからこそ、人を大事にできる。すなわち、自分に内在するドリー夢メーカーを大事にして生きるからこそ、周囲の方々のドリー夢メーカーになれる。命は今、自分が使える時間です。だからこそ、自分の命を周囲の方々と一緒に喜ばせるために使わなければもったいないと思います。

あなたにとって大切な人は誰ですか――。大切な人に、「私にとってあなたは大事な人だよ。いつもありがとう」。そんな言葉を掛けてあげてください。「急にどうしたの」と言われるかもしれないけれど、言われた人はきっとうれしいはずです。特に当たり前にいてくれる人ほどそうです。でも、一番うれしいのは、その言葉を言えた人自身かもしれません。

(4月2日、立正佼成会杉並教会のフラワーフェスティバルで行われた、腰塚勇人氏による講演から)

プロフィル

こしづか・はやと 1965年、神奈川県生まれ。大学卒業後、中学校の体育教諭となるが、2002年にスキーで事故を起こし、首の骨を骨折。重い障害を負ったが、周囲の人に支えられ、歩行が可能になるなど、奇跡的な回復を見せた。現在、全国各地で命の尊さを伝える講演活動を行う。著書に、『命の授業』(ダイヤモンド社)、『感謝の授業』(PHP研究所)。