WCRP/RfP国際共同議長 庭野光祥次代会長に聞く 第10回世界大会を終えて
世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の第10回世界大会が8月20日から23日まで、ドイツ・リンダウで行われ、大会宣言文を採択して閉幕した。立正佼成会の庭野光祥次代会長は国際共同議長として開会式でスピーチし、大会でのさまざまな議論に耳を傾けた。大会終了後に国際評議員会が開かれ、国際共同議長に再任された。今大会の意義や成果、課題、宗教者の役割などについて話を伺った。
多様性ある世界へ あらゆる人々と協働
――大会を振り返って、最初に思われることはどのようなことでしょうか?
大会期間中、大聖堂や全国の各教会で会員の皆さまが祈願供養をしてくださったことを伺いました。遠くドイツで開かれた大会ですが、そこに「自分事(じぶんごと)」として関心を寄せ、世界の問題の解決に向けて大会の成功を念じてくださったことがとても有り難く、感謝申し上げます。お一人お一人の祈願が、リンダウに集った宗教者の方々を、また大会の開催自体を支え、大きな実りあるものになったのだと確信しています。会員の皆さまのお心を誇りに思います。
――今大会を通じて、強く印象に残ったことはどんなことですか?
二つあります。一つは、私は2006年に京都で開かれた第8回大会、13年にオーストリアのウィーンで開かれた前回大会に参加させて頂きましたが、回を重ねるごとに「世界の、みんなのWCRP/RfPになっている」という印象を強くしています。
1970年に京都で開かれた第1回大会以後しばらくは、創設メンバーや一部の国が活動を牽引(けんいん)し、発展を遂げてきました。しかし、49年が経った今日では、諸宗教間対話・協力の重要性やWCRP/RfPのネットワークの必要性が世界で理解され、各国の諸宗教者が大会に積極的に参画しています。
歴史を積み重ねてきたWCRP/RfPでは、長く活動されてきた方同士が、「久しぶり」と、親しげに挨拶を交わす家族的な雰囲気があります。今大会でも、そうした光景があちこちで見られ、それだけでも、日頃からそれぞれの場でWCRP/RfPの理念に沿った活動に取り組む方々が集った大会であることを感じました。「ゲスト」という感覚ではなく、WCRP/RfPの取り組みを「自分事」としている方が世界各地から集ったという印象です。
例えば、私も関わらせて頂いているミャンマー委員会では、メンバーたちが、宗教の違いを超えて、日頃から一つのチームとしてミャンマーの課題に向き合っておられますが、今大会にもその方々が参加され、課題の解決に向けて熱心に対話を重ねていました。特別セッションのパネリストを務めた中東の女性リーダーたちも信仰を大切にしながら、政治や国の機関、地域社会などそれぞれの場で対話や協力、人権の保護といった活動に主体的に取り組んでいます。
また、今回はドイツ政府が開催に協力してくれましたが、ドイツ外務省で大使を務められた方が期間中、大会の様子をつぶさにご覧になりながら、「今日の会議はどうだった?」「満足できる内容だった?」と参加者に問いかけておられました。その姿に「大会を少しでもよいものにしたい」という熱意が感じられ、ドイツ外務省も「自分事」として大会に関わっていたことに大変感動しました。
さらに、国連事務総長特別顧問を務めた米コロンビア大学のジェフリー・サックス教授や世界銀行宗教・倫理関係主任アドバイザーなどを歴任したキャサリン・マーシャル氏など各分野のエキスパートがWCRP/RfPに主体的に取り組んでくださっています。宗教指導者をはじめ草の根で活動する宗教者、それに各国の政府、専門家、NGOの代表などが積極的に参画するWCRP/RfPになっているのです。創設に尽くされた開祖さまが現在の様子をご覧になったら、とても喜ばれると思います。