【世界宗教者平和会議日本委員会理事長、日本聖公会首座主教・植松誠さん】“地球家族”の一員として 宗教者が慈しみの実践を

――大会では具体的にどのような提案をしますか

日本委員会として三つのメッセージを掲げました。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」「危険をおかしてまで武装するよりも、むしろ平和のために危険をおかすべき」「もったいない」――これら三つの精神は世界の諸問題を解決に導くカギです。ぜひ大会宣言文に反映されるよう働き掛ける予定です。

また、具体的な提言を15項目にまとめました。これは各タスクフォース(特別事業部門)や部会などの活動を通して積み上げられたもので、代表団のメンバーが大会の分科会などで発信します。宗教者は理念、理想を語りますが、それを実際にアクションに変えていかなければなりません。大会ではWCRPの今後の方向性が示されます。その内容を日本委員会の今後の活動に生かしていきたいと思います。

――昨年、日本委員会の理事長に就かれました

日本委員会では、さまざまな宗教者から深い叡智(えいち)や気づきを頂いています。お互いに学び、理解し、尊重し合える関係はとても心地良く、私の生き方にも大きな影響を与えています。テーマによっては教義、信条の違いから受け入れ難いものもありますが、まずそうした「違い」を理解することで、前に進めるのだと思います。

日本委員会が取り組む課題はすぐに結果の出ないものが多いのですが、タスクフォースの方々を中心に、地道に、熱心に活動しています。さまざまな宗教の人たちが一つになって働くのは素晴らしいことです。みんなが平等の立場で、同じ視点から平和実現のため一緒に取り組む日本委員会の姿は、宗教協力の一つのモデルになるのではないでしょうか。世界大会でも私たちの結びつきをアピールし、世界に広げていくことが日本委員会の使命だと考えています。

こうして宗教協力の精神が根付くまでには多くの困難があったと思います。キリスト教は日本では比較的新しい宗教で、百数十年前、初めて京都にキリスト教の同志社英学校を建てる時には、仏教界などから大反対が起こりました。しかし、対立や排斥運動の中で、宗教者同士が一つ一つ学び、理解し、自分たちの言動を悔い改めながら、お互いを受け入れていったのです。

8年前、同志社大学で日本委員会の理事会と学習会が開かれ、さまざまな宗教の人たちが一緒に世界平和を祈り、学び、語り合いました。これまでの歴史を振り返り、本当に感慨深いことでした。宗教者が協働することは、世界平和のための絶対条件だと思います。

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