【世界宗教者平和会議日本委員会理事長、日本聖公会首座主教・植松誠さん】“地球家族”の一員として 宗教者が慈しみの実践を
第10回世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)世界大会が今年の8月20日から23日までドイツ・リンダウで開催される。大会を前に、日本代表団の団長を務めるWCRP/RfP日本委員会の植松誠理事長(日本聖公会首座主教)に、大会への期待や宗教協力の成果、信仰の意味などについて聞いた。
教義、信条の違いを理解 皆の協働が日本委の良さ
――大会に向けての抱負を聞かせてください
今、世界では難民や移民の流入、貿易の不均衡などを背景に、自国の利益を優先する“自国ファースト”の風潮が強まっています。また、気候変動や紛争など、いのちを脅かすような状況も続いています。これらの問題に対して政治家は国益で動きがちですが、宗教者は国の思惑や利害を超えて語り合うことができます。宗教には国境がありません。人間を超えた絶対なる存在を仰ぐ私たち宗教者が、諸問題の解決と世界平和に向けて、全てのいのちの大切さ、“地球家族”といった視点から議論を深めることに期待しています。
――大会のメーンテーマは『慈しみの実践:共通の未来のために――つながりあういのち』です
WCRP日本委員会ではテーマの中心となる「Caring(ケアリング)」という言葉を「慈しみ」と訳しました。「慈しみ」には、母親がわが子を抱(いだ)き愛情を注ぐようなイメージがあり、日本人にはしっくりと馴染(なじ)む言葉です。仏教、神道、イスラーム、キリスト教などが説く愛や慈悲にも通じ、お互いに共有できるのではないかと思います。
特に大事なのは、テーマにもあるように、慈しみを「実践する」ことだと受けとめています。私たちは宗教者として、生きとし生ける全てのものに対し、本当に慈しみあふれる存在かどうか。その問題意識を日本代表団の皆さんと大事にしたいと思います。