立正佼成会 庭野日鑛会長 8月の法話から

国の伝統、歴史を重んじて

パリのオリンピック大会が終了しました。オリンピックのように国際的なスポーツの催しなどでは、参加国の国旗が掲揚され、国歌が演奏されます。それぞれの国の国旗は、歴史、文化、伝統、宗教や民族性を表現しており、国旗掲揚、国歌斉唱の際には、お互いにこれを尊重することが大切なマナーであります。

日本の国旗「日の丸」、国歌「君が代」に込められた歴史や意味を正しく理解し、親しみを持ってこれを尊重することは、国民として当然のことです。

日の丸は白地に赤い丸が付されていますけれども、とても単純明快なデザインであります。真っ白は素直な心、赤は日出国(ひいづるくに)の象徴である太陽を表現したもので、平和への願いと感謝の気持ちが込められているということです。

国歌「君が代」は、「君が代は 千代に八千代に さざれ石の いわおとなりて こけのむすまで」という歌詞で、これは古今(和歌)集にある歌だそうであります。古今集では、最初の「君が代は」は「わが君は」となっているそうです。君が代の「君」とは、日本国の象徴である天皇陛下のことを指し、また天皇さまに象徴される日本国、国民全体を指しています。そして、小さな石が大きな岩となり、それに苔(こけ)が生えるほど末永く日本の国が平和であり、豊かになるようにとの願いが込められているということです。

私たちはこのようなことをしっかりと理解し、尊重していかなければならないと思います。
(8月15日)

画・茨木 祥之

奇跡の星・地球に生まれて

私たちの星(地球)は、青き星ですね。(一枚の写真を掲げて)これは月から撮った、青いきれいな地球が月(の地平線)に沈んでいく写真です。以前に、日本の「かぐや」(月周回衛星)から撮られた写真です。こういうきれいな青い地球上に、われわれは住まわせて頂いているわけでありますけれども、この地球上で戦争などをしていて、本当に人間は愚かだなと思います。

地球を照らす太陽にも限りがあります。(太陽の写真を示して)よくフレア(太陽の表面で起きる爆発現象)といって、ものすごい炎が太陽から出ている写真が撮られます。この炎は80万キロメートルにも及ぶすごい炎です。太陽では水素が燃えていて、いずれは太陽も(燃え尽きて)なくなってしまうわけであります。その前に、地球もなくなってしまう。そう分かっているんですけども、それでも人間は戦争をやめません。

アラスカの上空などではオーロラが見られますが、去年や今年には、北海道でもきれいにオーロラが見えたということです。(オーロラの写真を示して)地球を囲んで、こうした緑色のオーロラが見られます。きれいな水の惑星に私たちは住んでいるわけですから、大きな気持ちで、私たちの命はそうした太陽や地球のおかげさまであることをしっかりと受け取って、戦争などない、地球にしていきたいと思っています。
(8月15日)

和の精神を、世界の人々と

かつて聖徳太子は、「和を以(もっ)て貴(たっと)しと為(な)す」という言葉を十七条憲法の第一条に掲げられました。その「和」という字を用いて日本の国名が「大和(やまと)」と定められたことがありました。大きな「和」と書いて「大和」。私たちが正しく理解し、受け取って、さらにその精神を後世に伝えていかなければならない大事な言葉、国名であったと言えます。

大和(だいわ)とは言ってみれば、英語に表すとGreat Peace(グレート・ピース、大いなる平和)、あるいはGreat Harmony(グレート・ハーモニー、大いなる調和)、そういう意味合いの国号ということであります。日本は古代から、そうした国を目指して、今日(こんにち)まできているわけです。言ってみれば日本の本願として大和――大いなる平和、大いなる調和、そうした意味合いを込めて、私たちの国の名前があるのです。

その和の精神を、しっかりと自分のものにして、それを世界に広げて、平和に暮らせる努力をさせて頂くことが大切ではないかと、きょうのこの日を迎えまして、そのように思います。
(8月15日)