立正佼成会 庭野日鑛会長 6月の法話から

6月に大聖堂で行われた式典から、庭野日鑛会長の法話を抜粋しました。(文責在編集部)

毎日を新鮮な気持ちで

「天地(あめつち)のはじめは今日(きょう)をはじめとする理(ことわり)あり」という言葉があります。朔日(ついたち)は月のはじめで、新鮮な感じがしますが、朔日でなくとも、一日一日は、その時その時が「天地のはじめ」、つまり宇宙の開闢(かいびゃく)のようなものです。毎日を、「天地のはじめは今日をはじめとする」という新鮮な気持ちで過ごせたらと思います。

法華経に私たちの修行の場は、日常生活の中、自分が居るところであると示されています。また、私たちの現実世界は、本仏が常に説法をしてくださっている世界であり、「娑婆即寂光土(しゃばそくじゃっこうど)」と教えられています。そのように受けとめながら、一日一日を大切に過ごし、前進していくことができたら素晴らしいと思うのです。
(6月1日)

読書で心に栄養を

体の栄養は食べ物によって摂(と)っています。心の栄養は読書で得られると教えられています。日々の朝夕のご供養で、お経を読む「読経」は、信仰的な意味で心の食べ物と言えます。

感動するような読書を通して、心の食べ物をいつも取り続けていく習慣がとても大事です。
(6月1日)

人間らしく生きるための心がけ

中国戦国時代の儒学者である孟子(もうし)は、「人間が禽獣(きんじゅう)――鳥や獣(けもの)――と異なっている理由は極めて少ない。一般大衆はこの貴重なわずかなものを捨て去り、教養のある人はいつもそれを心に持っている」という言葉を残しています。これをもう少し砕いて言いますと、「人間が鳥や獣と違っている点は、極めてわずかである。そして、普通の人はこの貴重なわずかなものを捨ててしまって、君子と言われるほどの人は大切に心の奥深くに持っている。ただ、それだけの違いだ」となります。

一番大事な人間たる本質は、人格の「徳性(とくせい)」といわれています。私たち仏教徒が「仏性」と言うところを、儒教では「徳性」と言うのです。それは、例えば心の明るさ、清らかさです。また、人を愛し、助け、尽くすこと、恩を知ること、正直、勇気、忍耐などで、そうした心の働きを言います。これらは誰にでもあります。こういう徳性が一番大事な要素であり、一般の大衆はそれを忘れているが、君子といわれる人たち――現代的な言葉に直すと「教養がある人」は、それをしっかりと守っている、というのが孟子の言葉の意味です。「人間と禽獣が違うのはそれだけだ」といわれています。

その違いを大事にすることが、人間が人間らしく生きていくもとです。「徳性」――私たちにとっては「仏性」を磨いていくことが大事なポイントです。
 (6月1日)

決意即行動

私たちは時々、何かを決意します。今日は朔日(6月1日)ですから、その決意を実行するには始めやすいと思いますが、中には「6月はまだ年が半分過ぎていないから、7月1日から始めよう」と言う人がいます。ところが、「今日から始める」と言わないで、「7月1日から始める」と言う人は、その日になってもしないことが多いといわれています。今日ではなく、5日後にたばこをやめると決意する人の多くが、5日後になってもなかなか始めないのだそうです。そのうちに、「来年の1月1日から始めるぞ」となって、それでお正月が来てもまた始めないのが私たちの一般的な傾向であるようです。

決めたら、すぐに始めることが大切です。自分を変えるには、「今やるぞ」「今日やるぞ」という気持ちで始めない限りは、いつまでもできません。今日、今から始めるのだという決意がなければ何も始まらないのです。
(6月1日)

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