立正佼成会 庭野日鑛会長 3月の法話から

人材育成は、家庭を斉えることから

これから私たちは、(教団創立)百年に向けて、「人を植える」ということが大事になります。

「人を植える」とは、教育をするということでもあります。教育というと、学校教育が頭に浮かびがちですが、教育の一番の根っこは、家庭教育にあります。ですから、「人を植える」には、まず斉家(せいか)――家庭がしっかりと斉(ととの)っていることが望ましいのです。

家庭は、ちょうど稲の苗を育てる「苗代(なわしろ)」のようなものです。その「苗代」での父母(ちちはは)の役割は、「父は子供の尊敬の的(まと)」のような存在となり、「母は子供の慈愛の座」といえる存在になることです。家庭にあって、太陽のような温かみのある母親であることは、大切な要素になります。そうした家庭で育つ子供さんが、本当に立派に育っていくといわれるわけですから、家庭を斉えることが大事になるのです。
(3月15日)

画・茨木 祥之

人が育つ基盤は家庭に

「人を植える」、つまり人を育てる上で、宗教心を持った人を育てていくことが、特に大事です。社会の、あるいは日本の一員としてしっかり育つように、子供の時期からの家庭教育が、最も肝心な、根本的な教育になります。

学校教育の中でも、そうした躾(しつけ)ができた子供は、先生の言うことをよく聞いて、勉強も努力するといわれます。そうした子供は、仏さまの教えもしっかりと理解できるように育ちます。

その意味で、「人を植える」ということの根本は家庭教育であることを、私たちは心に銘記して精進していきたいものです。
(3月5日)

「今」を大事に生きる

新聞を読んでいましたら、世界で最高齢の方が福岡におられるようです。116歳のその方(福岡市在住の田中力子さん)は、(報道陣に)これまで一番楽しかったことを尋ねられると、「今」と即答されたとありました。

「今」については、仏教にもいろいろと教えがあります。

一大事と申すは、今日只今(ただいま)の心なり

これは江戸時代の正受老人(道鏡慧端=どうきょうえたん)の言葉です。

私たちが使える時間というのは、過去でも、未来でもなく、この瞬間しかありません。そうした中で、お互いに仏さまのみ教えを会得(えとく)して、それをまた、人さまにお伝えさせて頂く――このことが、私たちが生まれてきて、一番大事な菩薩行です。このこと以上に、今を大事にして生きるあり方はないと思うのです。
(3月10日)