立正佼成会 庭野日鑛会長 1月の法話から
自己を進化して
私は今年の最初の新聞(佼成新聞)で、『自己を進化してゆこう』と申し上げました。
私たちは、自分のことを「自分」、他人のことを「他人」と言うわけですが、道元禅師は、〈みんな己(おのれ)のことだったんだ〉と捉えられています。永平寺の貫首をなさった山田霊林師が、こんなことを言われています。
「禅師は何を見ても何を聞いても、それが『自分自身』であることを感じられました。『己れ自ら』であることを感じられました。わたしたちは『自己』と『他人』とを、きっかり区切って感じますが、禅師には『他人』という言葉がありません。わたしたちが『他人』と呼ぶところを、禅師は『他己』と申されます。他は他であるがそれがそのまま『己れ』として感ぜられ、その喜びも悲しみも『己れ』の喜び『己れ』の悲しみなのであります。大宇宙にいかなることが有っても、そのことごとくが、自分自身の問題であるのであります」
地球上を見ますと、国と国が対立して、恐ろしい爆弾の実験をしたとか、しないとか、つくったとか、そんな話が多くあります。宗教の世界は、みんなが輪になって、調和して、仲良くしていくことが一番大事です。
個性、自我にとらわれるのではなく、自己を進化して、一人ひとりが、世界が調和し、平和になっていくよう、お互いに精進させて頂く――このことが、宗教の世界だけでなく、全ての人間にとって大事なことです。
(1月7日)
宇宙船地球号に平和をもたらすために
いろいろと世界の問題が起きたとき、地球だけを捉えて考えるのではなく、もう少し大きな見方をした方が良いと思い、宇宙に広げて考えるようにしています。
人間は皆同じ地球人であり、全人類共有の「宇宙船地球号」に乗り合わせた兄弟であるといわれます。しかし、私たちは、同じ宇宙船地球号に乗り合わせていながら、その中で争いを起こしたり、毎日忙しくけんか腰で過ごしたりしています。先の言葉のように、全人類は共に宇宙船地球号に乗り合わせた兄弟であることを踏まえて、日々精進させて頂くことが大切です。
仏教は、宇宙の真理だといわれますから、仏教を学び、実践していけば人類は平和になっていきます。仏教は真理、真実の法なのですから、その道をしっかり精進して歩むことが、宇宙船地球号に平和をもたらすもと、力になるのです。
(1月10日)