新教皇レオ14世の素顔(海外通信・バチカン支局)
報道陣の予想を覆して選出された、新ローマ教皇レオ14世(本名=ロバート・フランシス・プレボスト)。選出から一週間が経過したが、彼自身の発言や彼が20年間にわたり宣教活動を展開したペルーの聖職者や信徒たちの証言を通して、新教皇の「素顔」が少しずつ、浮かび上がりつつある。
カズキが教えてくれたこと ~共に生きる、友と育つ~ (5) 写真・マンガ・文 平田江津子
数々の出会いが導いた市民団体の設立
カズキが地域の小学校で特別支援学級に在籍していた時、普通学級で多くの時間を過ごさせてほしいと相談し続けました。でも、学校側は「別室での個別学習の方が彼の力を伸ばせる」と主張を曲げず、私たち夫婦は悶々(もんもん)とした日々を過ごしていました。
切り絵歳時記 ~柳田國男『先祖の話』から~ 6月 文/切り絵 ルポライター・切り絵画家 高橋繁行
人は死ねば子孫の供養や祀(まつ)りをうけて祖霊へと昇華し、山々から家の繁栄を見守り、盆や正月に交流する――柳田國男は膨大な民俗伝承の研究をもとに日本人の霊魂観や死生観を見いだした。戦時下で書かれた柳田國男の名著『先祖の話』をひもときながら、切り絵を使って日本古来の歳時記を絵解きしたい。
内藤麻里子の文芸観察(68)
「ブレイクショット」とは、ビリヤードで最初に打つショットのこと。逢坂冬馬さんの『ブレイクショットの軌跡』(早川書房)は、そのショットと同じ名を持つ1台のSUV車が世に放たれ、ビリヤードでボールが飛び散るがごとくあちこちに移動し、それと共に物語が波及していく。現代の闇をさまよう群像が描かれるのだが、もうダメなのかと思った時、かすかな希望が立ち現れる。それはごく簡単なこと、「善良」を取り戻せばいいのだと教えてくれる。静かに胸を打つ会心作と言えよう。