バチカンから見た世界(123) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

ポーランド人教皇ヨハネ・パウロ二世の盟友が逝去

小生(記者)は1998年、「バチカン東方政策」(オーストポリティク)の立役者であったアゴスティーノ・カザローリ枢機卿に同市国内でインタビューした。カザローリ枢機卿は、1979年から90年までバチカン国務長官を務め、その間、旧ソ連や東欧共産圏諸国で無神論によって迫害されるカトリック教会に、最小限の信教の自由を保障するため、各国政府との折衝を展開していった人物だ。ハンガリーをはじめとして、旧ソ連やポーランド政府との合意を成立させていった。1975年にフィンランドの首都ヘルシンキで開催された全欧安全保障協力会議(CSCE)においてまとめられた最終文書「ヘルシンキ宣言」に、欧州大陸での安全保障や経済協力だけではなく、「信教の自由と人権」を挿入させることにも成功した。

続きを読む

笑トレで元気に――健康と幸せを呼ぶ“心の筋トレ”(1) 文・日本笑いヨガ協会代表 高田佳子 (動画あり)

笑いながら運動すると脳は「楽しい」と錯覚

「まさか!」と思うような想定外のことが、現代社会では連続して起きています。

続きを読む

内藤麻里子の文芸観察(36)

「ラップバトル」をご存じだろうか。時々テレビで放送していることもある。「ラッパー同士が、即興のラップで相手を『ディス』り合う――つまり罵倒し合う」ものだ。宇野碧さんの『レペゼン母』(講談社)は、こんな若者文化を使った、笑えて泣ける家族小説になっている。2022年の小説現代長編新人賞を受賞したデビュー作である。

続きを読む