バチカンから見た世界(158) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)
スピーチの主題をG7に戻した大統領は、自由経済有力国の集いであるG7が、多極化された世界において、無視できない求心力と影響力を行使しているが、G7に代わる、あるいは対抗する勢力にも対処しなければならないと指摘した。
G7以外の勢力との対話という地平にも目を向けることを推奨し、「G7が、高度な発展や所得といった範疇(はんちゅう)以外に、価値観をも考慮するように」と促した。「価値観」とは、「人間と諸国民の尊厳性を著しく促進していった、国連憲章と人権宣言」に記されているものだ。その価値観、目的が、「国際生活の新しい状況下で維持、発展されなければならない」のだ。
マッタレッラ大統領は、「経済調整機関としてのG7が、現代世界が直面する重要諸問題に挑戦していくプラットフォームへと変貌していった」とも指摘した。さらに、G7には、「国連憲章を最高峰として表現される、規制システム(国際法)に対する確信された合意」があるとも主張。国際法に対するケアは、「現代世界で挑戦を受けている、諸国家間による問題解決のための恐喝と武力行使の禁止」から始めなければならないという。
最後に、マッタレッラ大統領は、G7が「オープンなプラットフォームであるように」と願った。国際情勢の変化に順応し、柔軟に対応していけるG7であってほしいのだ。(つづく)
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