バチカンから見た世界(135) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

むしろ、カトリック教会は、教皇の記した勅令が「先住民の有する同等の尊厳性と権利を反映していない」と判断し、「教皇の勅令が、競争し合う植民地主義勢力の間で、先住民に対する非倫理的な行動を正当化するため、政治的な目的のために利用されたものと認知している。そうした非倫理的な行為が、カトリック教会の権威筋の反対なくして遂行されていった」と反省している。こうした過ちを認め、「(先住民に)恐るべき被害を与えた(欧州文化への)同化政策と、彼らが体験した苦しみについて学んだ」のだ。

声明文には、カトリック教会の伝統教義は一人ひとりの人間が、人間であるがために有する尊厳性の尊重を教えていると示され、「法的、政治的な政策として知られている“新大陸発見の教説”をも含めて、先住民の本質的な権利を認めない主張を嫌悪する」と記されている。バチカンは、「先住民の権利に関する国連宣言」と、その履行を強力に支持しているのだ。

これを受けて、「南米とカリブ海のカトリック司教評議会」(CELAM)は声明文を公表。「教皇フランシスコが、アマゾン地域のカトリック司教会議後に公布した使徒奨励書簡の中で指摘する、社会、文化、環境、教会という4視点から、カトリック教会が先住民たちの正義と平等を求める闘いを自身の使命としていく」と伝えた。

この他、「米国カトリック司教会議」(USCCB)も、声明文の中で、同国カトリック教会がこの数年、先住民の指導者たちと対話を続けていると説明。彼らに対する連帯と支援を継続するだけでなく、その主張に耳を傾け、学びを深めていくことを約束した。

「カナダカトリック司教会議」(CCCB)は、「CCCBがUSCCB、教皇庁歴史科学委員会と協力し、先住民と、学者たちの参加を得ながら、“新大陸発見の教説”に関する歴史的な理解を深めるシンポジウムを企画している」と明らかにした。また、同国の先住民である「ファーストネーション」は、バチカンの合同声明文を「和解へ向けての第1歩」として歓迎した。