『望めど、欲せず――ビジネスパーソンの心得帖』(8) 文・小倉広(経営コンサルタント)

同様に、部下が落ち込む目的も明確です。

優越の追求としては
「悲劇のヒーロー、ヒロインを演じる」「自分はきちんと反省できている優秀な人間である、と周囲にアピールしている」

劣等の回避としては
「これだけ反省しているので、もう攻撃しないでください、と防御している」「反省できない鈍い人間ではない、とアピールしている」などが考えられます。

これがわかると、落ち込むことが少し恥ずかしく感じます。私は以前、毎日のように落ち込んでいましたが、アドラー心理学を学んでから落ち込むことがなくなりました。恥ずかしくなったからです。そして、その分、エネルギーを課題の解決に振り向けるようになりました。おかげで心身共に好調で気持ち良く仕事に向かっていくことができています。

皆さんも、自分と相手の行動の目的を考えてみてはいかがでしょうか。

プロフィル

おぐら・ひろし 小倉広事務所代表取締役。経営コンサルタント、アドラー派の心理カウンセラーであり、現在、一般社団法人「人間塾」塾長も務める。青山学院大学卒業後、リクルートに入社し、その後、ソースネクスト常務などを経て現職。コンサルタントとしての長年の経験を基に、「コンセンサスビルディング」の技術を確立した。また、悩み深きビジネスパーソンを支えるメッセージをさまざまなメディアを通じて発信し続けている。『33歳からのルール』(明日香出版社)、『比べない生き方』(KKベストセラーズ)など多くの著書があり、近著に『アルフレッド・アドラー 一瞬で自分が変わる 100の言葉』(ダイヤモンド社)。