教皇退院 入院中にはプーチン大統領と電話会談(海外通信/バチカン支局)

バチカン報道官のマテオ・ブルーニ氏は10月17日、肺の手術のために13日からローマ市内のカトリック総合病院「ジェメッリ」に入院していた教皇レオ14世が、「今朝の医師団による最終検査の結果、午後には退院してバチカンに帰り」、「明日の(日曜恒例の)正午の祈りは、(バチカン広場に面した)使徒宮殿にある教皇の居室から執り行う」と公表した。

さらに報道官は、バチカンに「教皇の術後経過を見守る特別医療班は組織されない」とも言明しており、教皇が普通の生活に戻ることを示唆した。当初は1週間程度の入院が見込まれていたにもかかわらず、手術から4日後の退院となった教皇。その異例の早期回復を予告する三つの出来事が、退院前日(16日)に病院内で起きていた。

まず、教皇の主治医と手術執刀医の連署で公表された、教皇の回復状況に関するレポートだ。「教皇は今朝、血液検査と胸部のレントゲン写真を撮ったが、この二つの検査は、全身状態の継続的な改善を示していた。教皇は、呼吸運動療法を続けている。術後の回復により、教皇は日常活動を自力で行える状態にある」と記されていた。二つ目は、バチカンが、病院の一室で立ったままミサを司式する教皇の写真を公開したことだった。入院後、初めて公開された教皇の姿は普段と変わらない、元気な姿に見えた。バチカンの声明文は、「10月16日正午、教皇レオ14世は、(教皇の病室のある)病院10階の一室でミサを司式し」、「同病院の医療従事者、バチカン警備員らが参加した」と伝える。また、「教皇はミサ中の説教で、毎日病む人々の治癒のために尽くす医療関係者たちに謝意を表した」と伝えていた。そして最後に、バチカンが、「教皇がロシアのプーチン大統領と電話会談した」と明らかにしたことだ。「教皇は、(プーチン大統領に対し)ウクライナ・ヘルソン州のオレシュキー市で発生している、深刻な人道状況に対して強い憂慮を表明するとともに、食糧や医療品の供給、住民の安全な避難を可能とするための停戦を要請した」と伝える。

教皇は17日午後、病院の医療関係者や病院に集った多くの信徒たちに見送られてバチカンへ帰った。翌18日正午には、バチカン広場に集まった大勢の信徒らに向かい、やや、やつれた顔を見せながらも、張りのある声で正午の祈りを主導した。祈りの終盤、教皇の回復を祈り続けた人々に対し、「あなたたちの支えを、本当に感じた」と言明。さらに、入院したジェメッリ病院の医療関係者たちに謝意を表すとともに、「病院での体験が、闘病生活を送る人々や疾患に苦しむ人々との連帯を教えてくれた」と述懐した。「この困難な時期を乗り越えた今、神と、あなたたちの祈りに支えられ、徐々に通常の職務に復帰していきたい」と教皇は語る。バチカン公式ウェブサイト「バチカンニュース」は同日、「(11月初旬から中旬にかけて)予定されている南米歴訪を妨げる医学的な理由は一つもない」との、手術執刀医の談話を掲載した。

21日、教皇はバチカン広場での水曜日恒例の一般謁見(えっけん)に臨み、雨天にもかかわらずオープンカーに乗って参集した群衆の間を回った。法話では第2バチカン公会議で公布され現代世界憲章の精神に沿って、家庭の重要さについて説示。声は張りが増し、肺の手術後の回復が順調であることを示していた。

教皇主治医と手術執刀医は同日夜、連署で最終的な医療レポートを公表し、「手術によって摘出された部分の最終的な組織検査と分子生物学検査を実行したが」、「その結果が肺腺がんであったことを明らかにしており、がんは部分に限定されていた」と記した。そして、「後に行った検診によって、もう、これ以上の治療を(教皇が)必要としていないことが判明した」と公表した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)

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