庭野日敬生誕120年・開祖記念館開館20年記念国際シンポジウム 世界のリーダーと学林生が対話

基調講演の後、質疑応答が行われ、学林生から「異なる分野の人々と協働するには」「孤独の時代に、信頼をどう築くか」などの質問が寄せられた(写真・Zoomの画面)
立正佼成会学林と中央学術研究所の共催による「庭野日敬生誕120年・開祖記念館開館20年記念国際シンポジウム」が9月19日、『庭野日敬の精神を未来へ―分断を越え、信頼と共生の世界を築くために―』をテーマにオンラインで開催された。学林大樹生、蓮澍・海潮音科生ら108人が参加した。
シンポジウムでは、ノルウェー国教会オスロ名誉主教のグナール・スタルセット師、ルーテル世界連盟元議長のムニブ・ユナン主教、ガンジー開発財団理事長のエラ・ガンジー師、インドネシア・ウラマ評議会諮問委員会議長のディン・シャムスディン師など世界のリーダー7人が基調講演を行った。
冒頭、あいさつに立った杉野恭一学林学長は、庭野開祖について、法華経に基づく仏教精神に根差して、他宗教を尊重し、協力し合いながら、国際交流の場で世界平和の実現に向けて行動し続けてきたと説明。今回のシンポジウムでは、庭野開祖の功績を振り返るだけでなく、登壇者の智慧(ちえ)と経験から学び、「平和への共同行動をこれからの時代にどのように活かしていくのかを考える機会となることを願っています」と呼びかけた。
日本国連協会会長・元国連事務次長の明石康氏は、長年、国際問題に携わってきた経験から平和を築く営みについて、人権や尊厳など国際社会の原則を守りつつ、関係構築が難しい相手に対し、「対話の扉を閉ざしてはならない」と強調。対話とは、相手の行為を正当化することでも、自身の価値観を捨てることでもないと述べ、相手を初めから敵だと決めつけず、会話を重ね、小さな約束を守るなど、日々の積み重ねが信頼につながると詳述した。
また、明石氏は自身と異なる文化や宗教、考えを持った人と交流することを勧め、異なる意見に出合った時は「相手を理解しようとしながら、自分自身も学び、時には(自分が)変わることのできる勇気を持ってください」と語りかけた。
次いで、シャンティ・アシュラム会長であるヴィヌ・アラム博士は、平和構築は地域社会から始まり、貧困に苦しむ人々や子ども、差別に苦しむ女性など対話の機会を与えられていない人々にこそ、宗教者は目を向ける必要があると述べた。その上で、信仰は、日常の実践の中でこそ生きると力説し、宗教共同体は貧困地域をはじめ、行政や医療が届かない地域にも介入することができ、弱い立場にある人々に手を差し伸べられると語った。
また、学林生に向けて、他宗教の人々との関わりは国際会議などの正式な場所だけでなく、「(友人など)日常の出会いこそが、人生の理解を大きく深めてくれます」と話した。
質疑応答では、学林生から「アルゴリズムによって自分と同じ意見ばかりがSNSで表示され、立場の違いによる分断が深まる今、自分の信念を保ちながら対話する方法とは」との質問が上がった。回答者として登壇した世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際名誉事務総長のウィリアム・ベンドレイ博士は、対話を始めるにあたり、言葉ではなく、心で相手を知ることが大切であると説き、その例として乳児が目が合うと笑顔を浮かべる現象について紹介。乳児は見つめた相手の存在を認めるとともに、相手にも自分の存在を認められていると心で感じ取った喜びから笑顔を浮かべると説明した。「言葉よりもさらに深いところにある『知ること』こそが、真の対話が生まれる場所となり得るのです」と明示し、相手から一人の人間として尊重された時、人は初めて違いを話し合うことができ、相互に理解し合う喜びを味わうことができると伝えた。





