立正佼成会 庭野日鑛会長 3月の法話から

3月に大聖堂で行われた式典、学林合同卒林式から、庭野日鑛会長の法話を抜粋しました。(文責在編集部)
子どもは宝物
ある月刊誌に助産師の方のお話が載っていました。この方は、助産師として2600人以上の赤ちゃんの出産に立ち会ったということであります。
<そのお母さんは、出産予定日の前日に胎動がないというので来院されました。急いでエコーで調べたら、すでに赤ちゃんの心臓は止まっていました。>
<普段なら私たち助産師は、陣痛が五時間でも十時間でも、ずっと付き合ってお母さんの腰をさすって「頑張りぃ。元気な赤ちゃんに会えるから頑張りぃ」と励ましますが、死産をするお母さんにはかける言葉がありません。赤ちゃんが元気に生まれてきた時の分娩(ぶんべん)室は賑(にぎ)やかですが、死産のときは本当に静かです。しーんとした中に、お母さんの泣く声だけが響くんですよ。
そのお母さんは分娩室で胸に抱いた後「一晩抱っこして寝ていいですか」と言いました。>
<その日の夜、看護師が様子を見に行くと、お母さんは月明かりに照らされてベッドの上に座り、子どもを抱いていました。「大丈夫ですか」と声をかけると、「いまね、この子におっぱいあげていたんですよ」と答えました。よく見ると、お母さんはじわっと零(こぼ)れてくるお乳を指で掬(すく)って赤ちゃんの口元まで運んでいたのです。>
<死産の子であっても、お母さんにとって子どもは宝物なんです。生きている子ならなおさらです。一晩中泣きやまなかったりすると、「ああ、うるさいな」と思うかもしれませんが、それこそ母親にとって最高に幸せなことなんですよ。>
世の中がどんどん変わってまいりまして、今、日本では生まれる子どもさんが少ないんですね。また、子どもさんが生まれても、取り巻く環境はさまざまであり、本当に問題がたくさんあります。こうしたことを私たちはしっかりと受けとめて、いかに家庭で、健全な中で、子どもさんを産んで、そして成長させていくか――このことにしっかりと取り組まないと、日本の国は滅んでしまうかもしれません。
(3月1日)
「絶対不変の真理」
「絶対不変の真理」ということで、ある月刊誌でこういうことが述べられております。
その第一は「人は必ず死ぬ」ということである。この世に生まれて、死なない人はいない。今ここにいる人で、50年後に生きている人はいるだろうが、100年後に生きている人はいない。
第二は「自分の人生は自分しか生きられない」ということである。幼子が病気で苦しんでいる。親は自分が代わってやりたいと思う。だが、代わることはできない。その人の人生は、その人以外には生きることはできないのだ。
第三は「人生は一回限りである」ということ。人生にリハーサルはない。また再演することもできない。
そして最後、第四は「この悠久の宇宙において、自分という存在はたった一人しかいない」ということである。過去にも未来にも、自分と同じ人間は生まれていないし、これからも生まれてこない。自分は広大無辺の時空の中で、たった一つのたった一回しかないいのちを生きている存在なのである。
これは地球上に人類が誕生して以来、「不変の真理」である。この事実を真に受けとめるとき、深い感動が湧き上がってくる。私たちは図らずして、奇跡のようないのちを今生きているのだ。
――こういうことが載っておりました。これを読みながら、私は本当にそうだと思いました。皆さん方もそう思われるのではないかと思います。
(3月8日)
宗教教団はどうあるべきか
今から8年前、創立80周年の記念のときでしたけれども、教団ではもちろん80周年の記念式典をもたせて頂き、来賓をお招きして、祝賀会をもったことがありました。そのときに、私が開会のあいさつをすることになり、東京市中野区神明町36番地で生まれたことや、自分が今、会長になっているのは本当に不思議だというような話をいたしました。
その後に、私は当時、問題意識を持っておりまして――今も同じですけれども、私たちの立正佼成会は宗教教団でありますから、宗教教団はどうあるべきか。いかにあるべきか。また、宗教教団は必要なのかどうか、そんなことまで、私は来賓の先生方に問いかけました。そして、「80年を迎えましたから、これからそうしたことを探求してまいりたいと思います」とそんなあいさつをいたしました。今もそれは変わりません。
88周年を迎えましたが、いずれは百周年を迎えることになるわけであります。歴史の長い日本の国の中で、佼成会という宗教教団として、私たちはこれからどうあるべきかと、皆さまと共に真剣に考えてまいりたい。この佼成会の、開祖さまの教えてくださった法華経の精神は有り難かったと、本当に皆さまに思って頂けるような教団にしていかなければならない。これからまた、百周年に向けて、もっともっとそういう気持ちを旺盛にして精進をしてまいるということが、この周年記念に当たりまして一番大事なことではないかと思っております。
(3月5日)





