マラウイの子どもたちの未来を紡ぐ「学校給食プロジェクト」 本会一食平和基金運営委 現地を視察

給食のおかゆ(一食当たり約4円)を食べるマラウイの子どもたち。一食運動の浄財が、同国の子どもたちの命を救う一助となっている

「一食(いちじき)を捧げる運動」(一食運動)が今年、50周年を迎えた。この節目に、一食運動による浄財の活用状況を視察するため、立正佼成会一食平和基金運営委員会の事務局スタッフが4月22日から5月2日までマラウイに渡航。現地パートナー団体のマラウイ赤十字社(MRCS)による「学校給食プロジェクト」が行われている小学校と幼稚園を見学した。同プロジェクトの実施状況を紹介する。

栄養状態の改善に努め

豊かな自然に恵まれるアフリカ南東部のマラウイは、親しみやすい国民性と、1964年の独立以来、一度も内戦や紛争を経験していない平和な国であることから、「アフリカの温かい心」と呼ばれている。一方、労働人口の約8割が農業関連事業に従事する伝統的な農業国で、そのうちの約9割が小規模農家のため、農業の知識や技術を持たない人も多く、肥料の不足などにより生産性が低く、農村部の貧困率は極めて高い。

雨水に依存した農業であるため、特に近年は、気候変動による雨期での雨不足、干ばつや洪水といった自然災害の頻発によって農作物の収穫量が減少。食料不足や子どもたちの栄養不良がより深刻化しており、国民の約7割が国際貧困ライン(1日2・15ドル以下)で暮らす世界最貧困国となっている。

こうした状況に対し、MRCSは2014年から、同基金の支援によって貧困や飢餓に苦しむ子どもたちの栄養状態の改善を図る「学校給食プロジェクト」を開始した。これまでに、24の小学校と幼稚園で、MRCSのスタッフと地域ボランティア、行政、学校、保護者、地域住民が一体となった組織をつくり、1万6562人に給食を提供。子どもたちの栄養状態の改善と病気の予防に努め、学力向上にも寄与してきた。

また、事業の終了後も地域住民によって給食が提供できるよう、給食用の食材を栽培するコミュニティー菜園を設置。農法や農耕技術の伝授に力を注ぎ、学校給食が持続可能なシステムづくりにも取り組んでいる。

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