WCRP日本委 「ウクライナ難民人道支援ボランティア」に参加した会員たちの声
世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の「ウクライナ難民人道支援ボランティア」の派遣が7月15日から始まり、8月28日までに3隊(第1次隊=7月15日から31日、第2次隊=7月31日から8月14日、第3次隊=8月14日から28日)がウクライナ隣国のポーランドを訪れた。各隊は、避難民の子供を預かる託児所や、避難民を受け入れているフォコラーレ運動(カトリック在家運動体、本部・ローマ)の「マリアポリ・フィオーレ」を訪れ、風船や折り紙などを使ったワークショップ、草刈りやまき小屋の新築といった住環境を整える作業などを行い、避難民と交流した。第2次隊と第3次隊に参加した立正佼成会会員の声を紹介する。
全ての人が笑顔になるよう
練馬教会学生部員(20)
ロシアによる軍事侵攻で厳しい状況に置かれるウクライナの人々に寄り添おうと、練馬教会では応援メッセージを送る活動を行いました。私は、皆さんから寄せられた“思い”を英訳する手伝いをさせて頂きました。サンガ(教えの仲間)の熱い気持ちに触れていると、争いで傷ついたウクライナの人々の力になりたいという思いが一層強まっていきました。そんな中、ボランティアの隊員募集を知り、すぐに応募を決めました。
現地では、つらく、悲しい体験をしたウクライナの人々の心が少しでも癒やされればと思い、子供たちに折り紙や書道を教えたり、日本から持参した浴衣を着てお茶をたてて振る舞ったりしました。最初はお互いに緊張した面持ちでしたが、同じ時間と空間を共有するうちに、だんだんと笑顔が見られるようになりました。私の浴衣姿を見た女の子が「その服、かわいい。私も着たい」と声をかけてくれました。実際に着付けをして、その子が喜んでいる姿を見て、ほんのわずかな間でも楽しい時間を過ごしてもらえたのではないかと、私もうれしくなりました。
また、滞在中には、避難してきたウクライナの人々と食卓を囲む機会が何度もありました。爆撃の被害を受けた自宅の惨状、シェルターに避難した際の恐怖、ウクライナに残してきた家族への思い――。遠い国のこととしてニュースで見ていた出来事が、目の前にいる人の口から現実のものとして語られ、戦争が本当に起きていることを実感しました。
今回の活動を通し、改めて、ロシアの人も含めて、戦争で悲しい思いをしている全ての人が笑顔になれるようにとの思いを深めました。ポーランドで出会った人に、日本の多くの人が心配していると伝えると、「私たちのことを思ってくれる人がいることがうれしい」と言い、目に見えない祈りの尊さを痛感しました。ボランティアに参加して私が見聞きした体験を周囲の人に伝え、本当に戦争が起きているのだという事実を一人でも多くの人に自分事として受けとめてもらい、共に平和を祈りたいと、今、より強く感じています。
現地に思いを馳せ続けたい
小金井教会女性会員(31)
ロシアのウクライナへの軍事侵攻を知り、衝撃を受けました。自分にできる支援を模索していた時、母からボランティア隊のことを知らされ、現地の状況を肌で感じたいと思い、参加しました。
避難民と接する際は、とにかく目の前の人と真剣に向き合い、思いを共有することを心がけ、ウクライナの言葉や文化についてたくさん話を聞かせて頂きました。また、避難民を受け入れているフォコラーレ運動の方々の姿を通して、住環境を整えることが避難民の心の安らぎにつながるのだと学び、ベンチの補修や庭の草刈りなどの力仕事も、真心を込めて行いました。自分にできることはあるのか、不安な毎日でしたが、ウクライナの独立記念日に催した交流会で、ウクライナの歌を現地の言葉で歌うと、みんなも一緒に歌ってくれ、少しは励みになったかなと思いました。ただ、食事を終えるとすぐに自室に戻ってしまう方もいて、傷ついた心を癒やす難しさも痛感しました。
帰国の準備をしていた時のことです。いつもフォコラーレの施設に遊びに来ていた子供とその家族が、「ここで一緒に過ごした思い出に」と、一人ひとりにぬいぐるみを手渡してくれました。身一つで逃げて来て、物も不足している中、私たちと過ごした時間を大事に思い、一つ一つを一生懸命に選んでくれたであろうことを感じ、うれしくも胸が締めつけられる思いでした。同時に、ぬいぐるみを通して、現地で出会った方々に思いを馳(は)せ続けることが、皆さんを「忘れない」ことだと受けとめています。
戦争に限らず、世の中には助けを求めている人が大勢います。今回の活動で、自分たちは微力ですが無力ではなく、小さなきっかけをつくることはできると知りました。日々の実践が必ずウクライナの人々の幸せや平和に通じる――そう信じ、現地でしか知り得ない状況や避難民の思いを一人でも多くの人に伝え、職場のボランティアに参加するなど身近なところでできる活動をしていきます。