立正佼成会一食平和基金 令和4年度運営計画を発表 「貧困(飢餓)の解消」「教育・人材育成」など全10分野で展開 一乗精神に基づく共生社会の実現に向け

ミャンマーでの学校給食プログラムでは、就学率が低い貧困家庭の子供を対象に朝と昼に学校給食を提供する(©WFP/Aung Myat)

立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、中期運営計画(2018~2023年)に基づき、令和4年度の運営計画を発表した。予算総額は2億3891万6000円。一乗精神に基づく共生世界の実現に向け、 重点2分野の「貧困(飢餓)の解消」「教育・人材育成」をはじめ全10分野で事業が展開される。さらに、地球的規模の課題の解決を目指し、NGOや国際機関、行政などの団体間の連携を促す「ネットワークの強化」にも力を注ぐ。

コロナ禍の中、昨年は全国から1万3000個の「ゆめポッケ」が集められ、アフガニスタンやレバノンなどに届けられた(写真はアフガニスタンでの配付活動から)

一食平和基金は、会員の「一食を捧げる運動」(一食運動)による献金で成り立っている。

世界銀行のデータによると、1990年に36%だった世界の貧困率は、2015年には10%まで減少した。一方、近年では、ミャンマーやアフガニスタンでの武力衝突など各地で多発する紛争によって、家や生活の糧を奪われ、極度の貧困状態に陥る人々が急増。ロシアのウクライナ侵攻でも多くの難民が出ている。加えて、環境破壊や自然災害、一昨年から続くコロナパンデミックなどの影響から、今も7億人以上が国際貧困ライン(一日1.9ドル以下)の生活を送っている。

同委員会ではこれらの現状を踏まえ、今年も「貧困(飢餓)の解消」を優先して取り組むべき課題と位置付け、5168万円を拠出。国連世界食糧計画(国連WFP)と協働してミャンマーの学齢期の子供たちに給食を提供し、栄養状態の改善や就学率の向上を目指す。また、今年は、国内における毛布収集活動が最終年となる「アフリカへ毛布をおくる運動」については、同運動推進委員会の構成団体として予算を計上し、現地との調整や広報活動に取り組む。海外輸送費などにも「一食運動」の献金が充てられる。

聖エジディオ共同体と合同で行う「アフリカ・HIV/エイズ事業、出生登録事業」。母子感染治療により新生児の感染率を99%抑えることに成功した(写真提供・同共同体)

貧困の根本的な解消のためには、物資や医療の提供といった生活支援と併せて、社会に貢献できる人材の育成が不可欠との観点から、「教育・人材育成」も重点分野に挙げられた。国や民族、宗教の違いを受け入れる寛容性を養い、互いを尊重する心を育むことを目的に、紛争や対立で心身に傷を負った世界の子供たちに、本会の小学生、中学生らが文房具やおもちゃなどを手作りの布袋に詰めておくる「親子で取り組むゆめポッケ」を、今年も継続。このほか、パレスチナ難民を対象とした看護師養成事業や、南アフリカでの青少年育成事業など九つの事業に4997万円の予算を組み込んだ。

さらに、大規模災害の多発や環境破壊が深刻化する状況を踏まえ、「緊急救援・復興支援」の分野には6850万円を充当。東日本大震災の復興支援に尽力する福島県のNPOなどへの助成のほか、国内外の災害や紛争発生時に現地で救援に当たるパートナー団体の活動に協力する。

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このほか、「保健・医療・福祉」の分野では、聖エジディオ共同体と実施する「アフリカ・HIV/エイズ事業、出生登録事業」や、韓国残留日本人女性を保護する慶州ナザレ園の活動を支援。地域で活動する団体を本会の教会が主体的に支援する「一食地域貢献プロジェクト」「海外教会・拠点一食プロジェクト」にも予算が計上された。