法燈継承 30年(3) 会長就任20年~30年の庭野会長の歩み
庭野日鑛会長が、立正佼成会を創立した庭野日敬開祖から会長位を受け継ぎ、法燈を継承してから11月15日で30年を迎える。30年の足跡を10年ごとに振り返り、法話と共に紹介する。最終回となる今回は、2011年11月から現在まで。
◆ ◇ ◆
法燈継承後、毎年、年初の「初ご命日式典」(現在は「御親教」式典)で、庭野会長による二幅の書き初めが披露されている。二幅のうち一幅は、10年間同じ言葉が選ばれ、これまでの『簡素』『合掌』に続き、2012(平成24)年からは『燈明』が揮毫(きごう)されている。庭野会長は書に込めた願いとして、「自らが『燈明』になって世の中を明るくしていこうという意味合いを込めて、書き初めとさせて頂きました」と述べた。
庭野会長から示される「平成二十四年次の方針」から同二十七年次(2015年)までの4年間の方針には、「付記」が加えられた。東日本大震災の犠牲者への慰霊・鎮魂に尽くすとともに、「一年計画ならば穀物を植えるのがいい。十年計画ならば樹木を植えるのがいい。終身計画ならば人を育てるのに及ぶものがない」との古典の言葉を引用し、人材育成に取り組んでいく方針を表した。
13年3月5日、『こころの眼(まなこ)を開く』を発刊。執筆には、ほぼ2年を費やした。全8章・164編(「おわりに」を含む)。仏教の用語をなるべく使わず、平易な文章で仏教の本質を分かりやすく説いた。
17年11月、総合目標『一人ひとりの心田を耕す佼成会』に続き、向こう20年間を運用期間とする、教団創立百年に向けた「基本構想」が発表された。庭野会長は、教団創立から一世紀を展望して、「人材育成――人を植える――という根本命題に全力を尽くしていくことが、私たちの大事な務め」と明示した。
20年3月、新型コロナウイルス感染症が流行し、教団や教会のさまざまな活動が休止となる中、庭野会長は全国の教会長、教会役員に向けてメッセージ(動画)を配信。感染症が流行してから現在まで、大聖堂での式典(映像をライブ配信)で法話に立ち、全国の会員に向けてコロナ禍の中での心の持ち方、日々の過ごし方などについて説いてきた。
一方、国内では東日本大震災以降も、毎年のように自然災害が発生。16年には、熊本地震の被害を受けた熊本県を訪問し、熊本、八代両教会の会員を励ました。18年7月、西日本豪雨(平成30年7月豪雨)による被害に対し、『被災地の皆さまへ』と題するメッセージを発表。19年2月には、被災地域を包括する倉敷、福山、尾道、呉の4教会を、5月には北広島、広島、宇和島の3教会を訪れた。
東日本大震災から8年にあたる19年3月、磐城、平、仙台の3教会を訪れた。10月、台風19号が東日本に大きな被害をもたらした際には、『被災された皆さまへ』と題するメッセージを発表した。
また、これまで、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会会長、同国際名誉会長、アジア宗教者平和会議(ACRP)共同会長、新日本宗教団体連合会(新宗連)顧問、庭野平和財団名誉会長などの要職を務めてきた。国内外の宗教者と親交を深め、諸宗教者による国際会議、祈りの集いなどに出席し、スピーチに立った。
18年には、民族対立を抱えるミャンマーで行われた「ミャンマー・ハイレベル諸宗教使節団」の会合(WCRP/RfPミャンマー委員会、同国際委員会が共催)に出席し、スピーチ。同国外務省でアウンサンスーチー国家顧問と面会した。翌19年9月には、第16回奈良県宗教者フォーラムで、29の宗教・宗派の宗教者をはじめ各教団の信徒らを前に、『「和」の心を現代に』と題して基調講演を行った。