TKWO――音楽とともにある人生♪ テナートロンボーン・石村源海さん Vol.2

小学生の時に、自らの音感が良いことを知って、音楽が好きになっていった石村源海さん。吹奏楽団でトロンボーンを演奏するようになり、上達のために、時に苦悩しながらも、努力を重ねてきた。昨年4月に入団するまでの経緯、新人として過ごしたこの1年4カ月の思いを聞いた。

「吹奏楽が大好き」と伝わる演奏をオーディションで

――佼成ウインドを知ったのはいつ頃ですか

小学校の頃から、いわゆる“吹奏楽っ子”だったので、佼成ウインドの演奏を聴いていたとは思うのですが、どの曲をどの楽団が演奏しているのかとかは、中学生まではあまり意識していませんでした。明確に認識したのは、高校に入ってからです。

全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を聴いて、「東京佼成ウインドオーケストラ」の演奏と知り、2015年の演奏会に足を運びました。その日のプログラムにコンクールの課題曲が組み込まれていたので、参考にできればと思ってチケットを買ったのです。実際にライブでの演奏を聴いて、とても衝撃を受けました。今まで、僕たちがやってきた演奏と比べものにならないくらい桁違いのパワーでした。パワーといっても、力ずくで演奏しているとかではなく、秘めているというか、重層的なパワーが備わっている感じがして、その実力をうまくコントロールして、豊かな抑揚をつけて奏でられているのが、演奏から伝わってきました。一人残らずスーパープレイヤーの集まりなんだと感じました。

――どのような経緯で佼成ウインドに入団したのですか

藝大(東京藝術大学)を受験する前から、どこかのオーケストラに所属することを目標にしていました。もちろん、クラシックだけでなく、小学生の頃から吹奏楽が大好きだったので、吹奏楽団も視野に入れて、東京で行われるオーディションを手当たり次第に受けていました。

佼成ウインドのオーディションを受けたのは、大学4年生の7月になります。実はその1年前にもトロンボーンのオーディションが行われたのですが、僕がタイミングを外して、応募を逃してしまったのです。ただ、その年は、僕にとっては幸いなことに、合格者が出ませんでした。翌年もオーディションが行われたので、「これを逃してはいけない」と思ってすぐに応募し、合格を頂きました。前年に合格者が出ていたら、僕はここにはいなかったでしょう。1年という時間が頂けて、その間に成長することができ、オーディションに臨むことができたことに運命を感じました。

余談ですが、合格後、オーディションに同席していたステージマネージャーと顔を合わせました。「オーディションの時に、モニター越しからでも、あなたが吹奏楽が大好きだっていうのが伝わってきたよ」とおっしゃって頂き、本当にこの楽団に入団できたことをうれしく思いました。

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