庭野平和財団オンライン連続セミナーが終了 コロナ禍で支援を必要とする人たちに目を向けて
『新型感染症の影響と市民社会』をメーンテーマにした庭野平和財団のオンライン連続セミナー(全4回)の第3回が7月14日に行われ、市民41人が視聴した。15日には第4回を開催。1回から3回までの報告や議論を総括する内容となった。44人が参加した。
第3回では、コロナ禍の影響で生活に困窮している人々を支援する宗教者3人が講演した。
公益財団法人「全日本仏教会」(全日仏)の戸松義晴理事長は、NPO法人と連携して境内でフードパントリーを行い、ひとり親世帯や生活困窮者などに食品や日用品を無料で配布している天台宗最明寺(埼玉・川越市)の取り組みを紹介。これを参考にして、全日仏でも、地域のNPO法人や行政、寺院と連携して同様の取り組みを進めていると発表した。
さらに、インターネットに慣れない高齢者に代わって、新型コロナウイルスのワクチン接種の予約をサポートするなど、不安を抱える人に寄り添う寺院の活動を報告した。
キリスト教の精神を基盤とした公益財団法人「日本YWCA」の西原美香子業務執行理事は、コロナ禍の中でアルバイトの収入が減り、苦しい生活を送る一人暮らしの大学生に食品、日用品を配布し、外出が制限されて孤独を感じる人に対しては、オンラインで語り合う場を設けていると語った。
西原氏は、教会、神社、寺院といった宗教施設は、地域の人たちのコミュニティーの拠点として機能しており、宗教者は政府や自治体に対して人々の声を届ける役割を担ってきたと強調。コロナ禍においても、誰一人も取り残されることがないよう、宗教、宗派を超えたネットワークをつくって協力し、人々に寄り添う必要性を訴えた。
浄土宗の僧侶でもあるNPO法人「日越ともいき支援会」の吉水慈豊代表理事は、ベトナム人の技能実習生や留学生を支援する同団体の活動を紹介。コロナ禍の影響で技能実習生が職場を解雇されて、住まいを失う、あるいは借金を抱えるという問題が増加していると指摘。同団体では、そうした実習生を寺院で保護し、監理団体や法務省と交渉して、帰国手続きや新たな実習先の確保、資格取得のための日本語指導などの支援を行っていると述べた。
【次ページ:最終回ではIIHOEの川北氏が前回までの内容を総括】