本会一食平和基金から緊急支援 政変による混乱が続くミャンマー、空爆被害のパレスチナ・ガザ地区に
立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会はこのほど、クーデターの影響で貧困と飢餓状態にあるミャンマーへの緊急支援に500万円、パレスチナ・ガザ地区の空爆被害の支援に400万円の拠出を決定した。
ミャンマーでは、2月1日に国軍によるクーデターが発生。軍政に抗議し、「不服従運動」(CDM)を続ける市民と治安部隊との間で衝突が続き、多数の犠牲者が出て、経済や社会機能も麻痺(まひ)している。政情が不安定な最大都市ヤンゴンを中心に、収入減と、食料や燃料の高騰で生活が困窮する人が急増。貧困と飢餓の状態が悪化している。今後、社会保障の崩壊や新型コロナウイルスの影響で急性の飢餓状態に陥る人が増加すると予想される。
こうした状況を受け、同運営委は、同国で「学校給食事業」を行う国連世界食糧計画(国連WFP)に500万円を寄託。国連WFPは、貧困や飢餓といった危機的状況にあるヤンゴンでの緊急食料支援のほか、被害が懸念される地域で調査を行っている。500万円は、都市部やその近郊に住む200万人への支援に役立てられる。
一方、パレスチナ・ガザ地区では5月10日、イスラエル軍と武装組織「ハマス」との間で軍事衝突が勃発。イスラエル軍による11日間の空爆で、女性や子供を含む250人以上が命を落とし、約2000人が負傷した。住居を破壊され避難を余儀なくされた人は10万人以上とされる。
5月21日に停戦を迎え、人道支援物資が届き始めたが、甚大な被害を受けた建物やインフラの再建には時間がかかるとみられる。また、負傷者の対応に加え、新型コロナウイルスの感染対策に当たっていた医療施設やワクチンの接種会場となっていた診療所も空爆の被害を受け、医療活動にも影響が出ている。
本会は1999年から20年以上にわたり、「親子で取り組むゆめポッケ」の活動を通して、ガザ地区の子供たちにゆめポッケを届けてきた。その数は23万6197個に上る。今回の空爆では子供たちにも多数の犠牲者が出ており、ゆめポッケを受け取った人々への被害も危惧される。
今後は、生活再建と医療面の支援が急務であるため、同運営委は国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を通して300万円、認定NPO法人「日本国際ボランティアセンター」(JVC)を通して100万円の支援を決定。UNRWAは、110万人のパレスチナ難民への食料支援をはじめ、衛生的な環境の確保や医療設備の提供といった人道復興支援を展開。学生へのオンライン教育、子供や女性など社会的に弱い立場にある人々の心理サポートプログラムも行う。JVCでは、ガザで行ってきた子供の栄養失調予防支援を実施する予定だ。