WCRP日本委による復興合同祈願式 被災地に思い寄せ、いのちの連帯さらに (動画あり)
世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会は3月13日、宮城・仙台市若林区の荒浜地区に建つ鎮魂モニュメント「荒浜記憶の鐘」前で「東日本大震災の追悼と鎮魂ならびに復興合同祈願式」を行った。同復興合同祈願式は、2012年から被災地で営まれてきた。今年は暴風雨の中、加盟教団の信徒ら約70人が参列。立正佼成会から國富敬二理事長(同日本委理事)が出席し、共に祈りを捧げた。式の映像がインターネットでライブ配信された。
同日本委は東日本大震災の被害に対し、発生した2011年に、各加盟教団の勧募や街頭募金による浄財を被災地の社会福祉協議会や現地で活動する民間団体などに寄託した。さらに、被災地で継続的な支援を行うため、「東日本大震災復興タスクフォース」(現・災害対応タスクフォース)を設け、仙台市内に事務所を開設。スタッフが常駐し、他団体と連携を図りながら復興支援に取り組んできた。
14年からは各支援団体に活動資金を助成する「フクシマコミュニティづくり支援プロジェクト」をつくり、18期にわたって延べ263団体に計約5000万円を支援した。
震災発生の翌年から行われている復興合同祈願式は犠牲者を追悼し、今を生きる人々と連帯して復興を願うもの。今年は、式典の開式前に、参加者が震災遺構「荒浜小学校」を見学した。災害危険区域に指定されている荒浜地区には、震災以前、約2000人が住み、海岸から700メートルに位置する同小学校には91人の児童が在籍していた。震災では最大13.7メートルの津波がこの地をのみ込んだ。参加者は、仙台市まちづくり政策局の鈴木憲一氏から、校舎2階まで襲った津波の爪痕や、校舎に避難していた教職員、児童、地域住民ら320人の当時の様子について説明を受けた。
式典では、植松誠同日本委理事長(日本聖公会主教)の開会あいさつに続き、12の教団による「宗教宗派別の祈り」が行われた。
この後、全員で黙とうを捧げ、同委平和研究所所員の齋藤忠夫東北大学名誉教授があいさつに立った。齋藤氏は、インフラの整備が進む中で「心の復興」は途上であることに触れ、「これからも被災者に寄り添い、共に笑顔で復興を目指すことを誓います」と述べた。
次いで、荒浜地区の住民だった大学敏彦さんが10年の歩みを述懐。妻、両親、兄、甥(おい)の5人を津波で亡くし、悲嘆に暮れる日々だったが、周囲の人に支えられ、「前に進むことができた」と発表した。「これからも悲しみは消えません。地震を忘れずに、後世に語り継いでいきながら、周りの人と心一つに支え合っていきたい」と語った。
閉会のあいさつの中で、黒住宗道同委災害対応タスクフォース責任者(黒住教教主)が、これからも犠牲者に祈りを捧げ、復興に尽くしていくことを誓った。
これに先立つ11日、同委は植松理事長名による『東日本大震災から10年を迎えて』と題する声明を同委のウェブサイトで発表した。この中で、同震災で犠牲となった人々の冥福を祈り、遺族に哀悼の誠を捧げるとともに、支援活動に尽力してきた全ての支援者に敬意と謝意を表明。震災の体験が風化しないよう、被災地域の現状を将来世代に語り継ぐとともに、今後も宗教宗派の垣根を超えて協力し、慈しみの実践を続けていくことを誓っている。