WCRP国際委員会 ミャンマーの平和を願い声明を発表 世界の人々に「共に祈りを」と呼びかけ
2月1日にミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問や与党・国民民主連盟(NLD)の幹部がミャンマー国軍に拘束された事態を受け、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会は翌2日、「国際声明」を発表した。国際共同議長である立正佼成会の庭野光祥次代会長も作成に携わった。
声明で同国際委員会は、ミャンマーの人々との連帯を表明し、これまでの平和と和解への努力の継続と、拘束者の即時解放、文民統治の回復を訴えた。同国際委は、世界の全ての人々に「共に祈りを」と呼びかけている。
和解と共生に取り組んできた諸宗教指導者たちが訴え
ミャンマーは2011年に国軍主導体制から民政に移管された。WCRP/RfPはミャンマーの諸宗教者と共に、諸民族の融和と国民の和解による平和の実現に取り組んできた。
16年、日本委員会が東京で「ミャンマーの宗教指導者を迎えての公開シンポジウム」を開催。18年にはミャンマー委員会と国際委員会の共催により、ヤンゴンで「ミャンマー・ハイレベル諸宗教使節団」の会合が行われ、同国の宗教指導者と庭野日鑛会長を含む海外の宗教指導者が分断や対立の改善策を協議した。これを基に作成された公開書簡をアウンサンスーチー国家顧問に提出した。
この会合では、その後の3年間で4回の「ミャンマーにおける国内和解と平和的繁栄のためのRfPアドバイザリー・フォーラム」を同国で開催することも決定した。18年11月から3回開催され、全てにアウンサンスーチー国家顧問が出席。第2回(19年5月)と第3回(同11月)には光祥次代会長が出席し、国際共同議長としてスピーチした。
各回とも諸宗教者、同国の政府や軍の代表、各国大使、国際機関の関係者、NGOの代表ら数百人が参加。これまでに、「教育」「全ての民族と少数派のための民族の権利と責務」「女性の参加とリーダーシップ」「青年のエンパワーメントと参画」「ラカイン州におけるアイデンティティー、多様性、共通の課題」「宗教の自由」の常設委員会が設けられ、取り組みが進められていた。
これまでに国連をはじめさまざまな国際機関や国際社会が同国の和解に取り組んできたが、主要な当事者による実践を伴いながら、本格的な展開が継続的になされているのはWCRP/RfPのみとなっており、多くの期待が寄せられていた。
国際委は2日に発表した声明の中で、「私たちはこの国の癒しのために共に祈りを捧げ、そして、人々の民主的な願いを破壊するいかなる試みも非難します」と表明。拘束者の即時解放、文民統治の回復、平和と和解の努力の継続を求めた。
さらに、1月25日にミャンマー委顧問のチャールズ・ボー枢機卿が、国家の課題を軍事によって解決することなく、権力を有する全ての人が、民主主義、平和、和解への道から逸脱しないようにと示した声明文を紹介。その内容は、人間の尊厳、人権、国際法の尊重に基づく包摂的な対話を基に取り組んできた「アドバイザリー・フォーラム」の精神と共通するものであるとし、文民統治の回復と併せて、難民や疎外された人々への諸宗教による支援が続くよう訴えた。
その上で、改めて「未来はミャンマーの人々のもの」と強調。諸宗教者は今後も協働し、「真の善意」を証明していくとの意志を表している。