東北支教区の学生部員ら 8000羽の折り鶴を「原爆の子の像」へ

東北支教区の各教会から福島教会に届けられた折り鶴。ご宝前に供えられ、祈願供養が行われた

平和への祈りを東北から広島へ――。原爆犠牲者の鎮魂と平和を祈る立正佼成会東北支教区の「折鶴プロジェクト」が、学生部員を中心に8月中旬から1カ月半にわたって行われた。寄せられた8000羽の折り鶴は広島平和記念公園にある「原爆の子の像」に捧げられるもので、会員たちの思いを乗せて送られた。

宮城、山形県下5教会(昨年までの東北支教区)は、今年4月に中学生の「広島平和学習」を計画していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止になった。スタッフとして携わっていた石巻教会学生部長(24)は、「広島には行けなくても、みんなの平和を願う気持ちは現地に届けたい」と思い立ち、各教会の学生部長に折り鶴を広島に送る活動を提案。福島県下9教会も加わり、東北支教区全体で取り組むことになった。

各教会では新型コロナウイルスの感染防止に配慮しながら、学生部のリーダーが部員に呼び掛けた。ポスティングなどによって折り紙を配り、教会道場に折り鶴の回収箱を設けた。部員たちは、原爆の犠牲となった人たちを思い、平和への願いを込めて丁寧に鶴を折り上げた。こうした学生たちの熱心な姿がさまざまな会員たちの目に留まり、各教会では世代を超えて協力の輪が広がっていった。

全ての折り鶴は福島教会に集められ、広島への発送前の9月27日、同教会の学生部長(35)を導師に祈願供養が行われた。この映像をインターネットで配信し、各教会の会員が共に戦争犠牲者の冥福を祈り、世界平和の実現を祈念した。

折り鶴は、NPO法人「ヒロシマ宗教協力平和センター」(HRCP)の協力により、「原爆の子の像」に捧げられた。

今回の活動を提案した石巻教会学生部長は、「一緒に集うことはできず、それぞれ離れての活動でしたが、皆で心を一つにして成し遂げられたことを大変うれしく感じています。私たちが生きているのは当たり前ではありません。戦争で犠牲になられた方々への追悼の思いや平和への願いを部員さんたちにつなげていきたい」と話す。