東日本大震災から6年 WCRP/RfP日本委青年部会が公開学習会

東日本大震災から6年を迎えるに際し、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会青年部会による「公開学習会」が2月19日、東京・台東区の浅草寺で開催され、110人が参加した。

同学習会は、災害時の緊急対応や支援のあり方について学ぶとともに、リーダーシップの重要性について理解を深めることが目的。当日は、『ともに支えあう』をテーマに、宮城県の南三陸消防署元副署長で震災語り部の佐藤誠悦氏が基調講演を行った。

南三陸消防署元副署長で震災語り部の佐藤誠悦氏

東日本大震災の発生時、気仙沼消防署指揮隊長を務めた佐藤氏は、津波の被害状況のほか、津波によって油が流出して起きた火災の消火活動や、行方不明者の捜索活動に従事した体験を映像と共に詳述した。一方、自身も妻を津波で失った遺族であることに言及。人命救助のプロでありながら、最愛の妻を助けられなかった無念さを抱き、部隊の指揮官として、悲しみを押し殺して全力で任務にあたった当時の心境を語った。

また、この6年を振り返り、語り部としての活動を「父にしかできない役」として子供たちが支えてくれたことを紹介。さらに、震災を語り継ぐことは妻と自身のいのちを生かすことだと思え、こうした体験を通してようやく妻の死を受け入れつつあるという胸中を明かした。その上で、「震災を語り継ぐことは、災害から自身を守るための備えの大切さに皆さんが目を向けてもらうきっかけになる。それが残された私の使命です」と結んだ。

救急救命士の金城万里奈氏

続いて、救急救命士の金城万里奈氏が登壇。4歳のときに故郷の兵庫県で阪神・淡路大震災を経験したことが、医療の道を志す原点だったと話した。また、大学休学中に南三陸町にボランティアとして訪れた際、罹災(りさい)しながらも市民のために働く佐藤氏ら消防隊員の姿に胸を打たれたことを紹介。「阪神・淡路大震災で被災した故郷は、多くの『誰か』の支えによって救われました。今度は私が『誰か』として支えられるよう、救急救命士として技術を向上させたい」と語った。

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)

宗教対話・協力を基盤として、平和の実現に向けて献身する世界の宗教者の集まり。1970年に創設された。
同日本委 http://saas01.netcommons.net/wcrp/htdocs/