「人間と科学」研究学会 第31回研究大会
中央学術研究所が後援する「人間と科学」研究学会の「第31回研究大会」が9月1日、佼成図書館視聴覚ホール(東京・杉並区)で開催された。今回のテーマは『少子化社会における質の高い後継者確保とその育成』。同学会のメンバーや立正佼成会の職員、学林本科生など65人が参加した。
中央学術研究所の客員研究員らでつくる同学会は、「専門的分野からの分析」「知的創造」「智慧(ちえ)の発信」「知的交流」を目的とし、1988年に設立された。研究大会を毎年実施し、環境や教育問題などの社会事象を取り上げ、課題の分析と解決に向けた提言を行っている。
当日は、『私は何をすることができるか!』と題して作家の神渡良平氏が基調講演に立った。神渡氏は、カンボジアで地雷や不発弾の処理、学校建設などの支援を続ける元自衛官の高山良二氏などを紹介。「社会に貢献したい」「人に喜ばれたい」という志を持って生きる姿が後人の生き方に影響を与え、人材育成につながると話した。
また自身が38歳で脳梗塞を患った時、安岡正篤氏の著書の中で「一隅を照らす」という伝教大師最澄の言葉に出合ったことで、病苦を通して自らの精神性を高め、社会に貢献できる人間になるという志を立てたと詳述。「いのちを頂き、生かされていることに意味や目的を見いだし、その実現に向けて行動することが大切」と述べた。
続いて、石川・白山市立松任公民館の北村俊一館長が『めざす教師像と地域における人材育成』をテーマに登壇した。北村氏は、人の主体性を引き出すポイントとして、「自己決定を尊重する」「失敗やミスを成長の糧とする」などを提示。併せて目標の設定を促し、社会貢献活動などを通した喜びに共感する触れ合いが大切と強調した。
この後、『立命に後継の「願い」を活かす』と題して同学会副会長の今井正直氏が発表。人類は、より良い人生を生きてほしいという願いを込めて子々孫々にいのちをつないできたと説明。そうした「自らの生に託された願い」を一人ひとりが自覚し、後人に伝えることが重要と語った。