庭野平和財団公開シンポジウム 宗教団体の社会貢献活動を考察

公益財団法人・庭野平和財団は3月28日、東京・千代田区の弘済会館で『日本宗教の現状と課題――宗教団体の社会貢献活動調査から見えてくるもの』と題する公開シンポジウムを開催した。宗教者やマスコミ関係者ら50人が参加した。

シンポジウムは、同財団が2008年から4年ごとに國學院大學の石井研士教授の協力を得て実施してきた「宗教団体の社会貢献活動に関する世論調査」と、その結果を受けて開かれた、戦後の日本宗教の展開と現状を振り返る研究会での議論を踏まえ、行われた。

当日は、石井氏が3回(08、12、16年)の世論調査の結果を基に日本の宗教の状況を報告。08年と16年の結果を比較すると、宗教団体の社会貢献活動に対する評価は、「たいへん立派な活動で、もっと活発に行ってほしい」が19.1%から23.9%に、世界平和への貢献を評価する回答は、34.4%から41.6%に上昇した。石井氏は、宗教団体による社会貢献活動の認知度や評価は上がっていると分析した。

期待する活動内容については、「平和の増進に関する活動」「災害時のボランティア活動」の割合が多く、人々の関心は徐々に高まっている一方、「参加してもよいと思う社会貢献活動」については、「ない」との回答が突出しているとした。さらに、宗教団体がさまざまな社会貢献活動を行っているにもかかわらず、過半数が「知らない」とし、東日本大震災における支援活動に対しても「ひとつも知らない」という人が半数を占める状況は、「日本社会特有」と指摘。周知の重要性を挙げ、この点をどう突破できるかが課題と述べた。

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