平成最後の年が明け 大聖堂はじめ各教会で「元旦参り」

大聖堂の「元旦参り」は、元日の祥気が満ちる厳粛な中で行われた

元号に込められた意味合いを今一度かみしめ

新年を迎え、仏道によって自らの心田を耕すとともに、世界平和の実現に向けて精進を誓う「元旦参り」が1月1日、大聖堂(東京・杉並区)をはじめ全国各教会で行われた。

参拝者を迎える振り袖姿の青年部員

元日の祥気が満ちる日の出の時刻に合わせ、大聖堂には、主に東京東、同中央、同西支教区の会員が参集。聖壇上には鏡餅が飾られ、ホール入口付近に整列した制服や礼服、振り袖姿の江戸川教会青年部員が「あけましておめでとうございます」と元気に声を掛け、参拝者を迎えた。

午前6時、聖壇の緞帳(どんちょう)が上がると同時に、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われ、庭野日鑛会長が年頭誓願文を奏上した。

この中で庭野会長は、昨年に教団創立80周年を迎えたことに触れ、この歴史の礎(いしずえ)は庭野日敬開祖、長沼妙佼脇祖をはじめ先輩幹部や会員の寝食を惜しまぬ尽力によって築かれたものと強調。こうした恩に報いるため、創立100年を展望して人材育成に引き続き全力を尽くしていくと明示した。その上で、「本会における人づくりとは、法華経に示されている、菩薩を育てることです。菩薩とは、仏の教えをよく信じ、理解して、仏の境地に向かって邁進(まいしん)する決心をした人、また、仏の心を自分の心としようと努力を惜しまない人のことです」とし、「ご法の習学」「サンガの役割」の大切さを説いて、人材育成に傾注すると誓願した。

年頭誓願文を奏上する庭野会長

また、今年5月に皇位継承に伴い、平成が幕を閉じることに言及。「平成」とは中国の古典の言葉が由来の一つで、「国も人間も、その内側、内面が平和で穏やかであれば、それは外的な世界に形となって現れてくる」との意味合いであるとし、「私たちはその平和の精神を踏まえ、一人ひとりが創造的な歩みを進める確たる志をもって、何事に対しても日々新たな気持ちで精進してまいります」と述べた。

この後、再び登壇した庭野会長は、年頭誓願文にもある「平成の精神」を踏まえて、社会や世界のために貢献することが法華経を信奉する菩薩の生き方であると説示。さらに、「心田を耕すことは、私たち一生のつとめ、目標」であるとし、「本年もお互いさまに精進させて頂きましょう」と語り掛けた。

本尊に今年の目標を誓う参拝者

「元旦参り」に、8歳と4歳の娘と参加した千代田中央教会の女性(39)は、「昨年、母が入退院を繰り返す中で、自分がどのように育てて頂いたかを振り返りました。母は仕事をしながらの子育てで大変だったはずなのに、いつも笑顔で接してくれました。私もそうした母親になりたいと思います。子供たちや支えてくれる教会の方、職場の同僚など多くの人に、『ありがとう』と言える自分になることが目標です」と話した。製造業に携わる、荒川教会少年副部長の男性(34)は、「子供たちと心を通わせ、仏さまの教えを伝えていければというのが願いです。思い通りにいかないこともありますが、子供との触れ合いは自分を成長させてくれる縁なので、有り難いですね。職場でも後輩に教えることが増え、仕事の厳しさをどう伝えるかが課題です。いつでも、どこでも笑顔を大切にしていこうと誓いました」と語った。

また、今年4月に大学入学が決まっている江戸川教会の学生部員(18)は、「高校に進学して、うまくいかない時期に親身に話を聞いてくれたのは教会の人たちでした。今があるのは、そのおかげです。福祉と経営の勉強をし、起業して社会に貢献するのが夢です。新しい出会いを楽しみ、いろいろなことにチャレンジしていきたいと思っています」と笑みを浮かべた。

なお、「元旦参り」の開式に先立ち、庭野会長、光祥次代会長は一乗宝塔を参拝し、庭野会長が屠蘇(とそ)を奉納した。

平成31年、初日の出(午前7時頃)