【俳優・國村隼さん】それぞれの「かぞくいろ」 変わらない家族の愛と絆

圧倒的な存在感と奥行きのある演技で人気を博し、映画やテレビなどで活躍する國村隼さん。11月30日から全国公開される映画「かぞくいろ―RAILWAYS わたしたちの出発―」では、勤続37年のベテラン鉄道運転士の奥薗節夫役を熱演し、有村架純さんと共に主演を務めている。家族とは何か、当たり前の中にあるかけがえのない幸せとは何か――。作品に込めた思いを國村さんに聞いた。

思いやりや支え合いが家族の味わいを醸し出す

――今回の映画では、地方のローカル線が隠し味になっていますね

ローカル鉄道を通じて人間ドラマを描く映画「RAILWAYS」のシリーズの第3作になります。7年ぶりの最新作の舞台は、熊本県八代市と鹿児島県薩摩川内(さつませんだい)市を結ぶ肥薩おれんじ鉄道。日本の原風景ともいえる九州の西海岸の沿線が舞台です。

物語は、有村架純さん演じる奥薗晶が突然、青木崇高さん演じる夫・修平の突然の死によって、夫の連れ子の駿也(歸山=きやま=竜成さん)と共に鹿児島にある夫の実家を訪れる場面から始まります。

母として、不器用ながらも真っすぐに生きようとする晶、父を失った悲しみを必死にこらえながらも前を向いて生きる駿也。そして、突然現れた二人に困惑しながらもその成長を温かく見守る義父であり祖父の節夫。やがて、過去の出来事が次々と明らかにされ、過去・現在を行き来しながら、家族の絆や歴史が浮かび上がってきて、新たな家族の再出発を誓うストーリーとなっています。

――「かぞくいろ」というタイトル、それも漢字ではなく平仮名を使っていて、ほんのりとした温かさが伝わってきます

家族の形はさまざまです。百の家族があれば、百様の家族のあり方があるでしょう。形は違っても、その人にとって家族が大切であることに変わりはありません。たとえ血のつながりがなくても、愛する人を失っても、お互いの心に寄り添い、支え合う中でようやく一つの家族になれるのだと思います。思いやりや支え合いが家族の味わいを醸し出すように私には思えるんですよね。

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