本会一食平和基金 内戦続くイエメンの人々に緊急支援 国連WFPに300万円を寄託
中東の最貧国イエメンでは、2015年3月から内戦が続き、国民の6割以上が食糧不足に見舞われるなど深刻な人道危機に陥っている。こうした状況を踏まえ、立正佼成会一食(いちじき)平和基金運営委員会は8月14日、同国民への支援として、300万円の拠出を決定。支援金を国連世界食糧計画(国連WFP)に寄託した。
11年に始まった中東の民主化運動「アラブの春」は、イエメンにも波及し、反政府運動に発展。長期政権を担ったサレハ大統領が退陣し、12年2月、ハディ副大統領が暫定大統領に就任した。しかし14年9月、サレハ氏は武装組織フーシ派と連携して勢力を拡大し、首都サヌアを占拠した。
ハディ大統領の勢力はサウジアラビアに応援を要請し、15年3月、同国主導のアラブ諸国連合軍がサヌアなどへの空爆を開始。本格的な内戦状態に突入した。
現在は、フーシ派によるサウジアラビアへのミサイル攻撃と連合軍のイエメン国内への空爆の応酬が続き、地上戦も起きている。各地で市民や子供たちが犠牲になっており、内戦は泥沼の様相を呈している。
イエメンの人権団体の報告では、これまでに民間人の死者は1万4700人、負傷者は2万3000人以上に上る。また国連の発表によると、1780万人が食糧支援を必要としており、40万人の子供たちが極度の栄養不良に陥っている。コレラに感染した疑いのある人も昨年は100万人に上り、そのうち5歳未満の子供が4分の1を占めている。
国連WFPは、内戦発生当時から食糧提供を中心に支援活動を展開。今年1月には、630万人に小麦、豆、食用油などを、また70万人(約11万5000世帯)に食糧引換券を配布した。中度の急性栄養不良に陥った0歳から5歳までの乳幼児99万人と、妊産婦84万人に対して栄養強化食品を提供してきた。
本会一食平和基金運営委は国連WFPの要請に基づき、緊急支援を決定。浄財は先に挙げた食糧支援のほか、他の国連機関や支援組織の救援活動が速やかに遂行できるよう、航空機や船舶、輸送トラックといった物流サービスを提供する活動にも役立てられる予定だ。
【本紙の記事から】
インタビュー ユニセフ教育専門官・大平健二さん 紛争下にあるイエメンの子どもたちに心身のケアと教育支援を(2017年06月29日)
クラスター爆弾の被害をなくすために 『私のお金、私の責任』 地雷廃絶日本キャンペーン理事・目加田説子氏(2017年07月17日)