盂蘭盆会 普回向の精神で実践を 庭野会長が法話
祖先の霊に追善供養の回向を手向け、さらなる菩薩行の実践を誓う「盂蘭盆会(うらぼんえ)」が7月15日、立正佼成会大聖堂(東京・杉並区)をはじめ全国の教会で厳修された。大聖堂には全国から会員約3500人が参集した。
式典では、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われた。「教師」資格者256人が戒名を奉読、光祥次代会長が庭野日鑛会長の回向文を奏上し、焼香した。
続いて体験説法に立った平教会の女性会員(57)は、リストラと、がんを乗り越えた夫が家族のために懸命に生きる姿を通し、不都合な事柄の中にも仏の守護を感じることができた体験を発表。支部長の役を通して人を思いやり、関わることが自分自身の救いにつながったと述懐した。
次いで、庭野会長が焼香を行い、法話に立った。
この中で庭野会長は、釈尊の十大弟子の一人で「神通第一」といわれる目連尊者が、餓鬼界に落ちていた母を救うことを説いた『盂蘭盆経』の逸話が盂蘭盆会の起源と紹介。盂蘭盆はサンスクリット語の「ウランバナ」の音写で、意味は逆さづりを表す「倒懸(とうけん)」であるとし、物事をありのままに正しく見ることができずに、逆さに見ては苦しむ人間の姿を表していると説明した。その上で、物事を正しく見ることは自らに安定や健康をもたらすとし、そうした生活を心がけることは「親孝行にもつながります」と語った。
さらに、功徳を普(あまね)く人に及ぼすことを願う「普回向」に触れ、教えを伝えていくことが多くの人の救いにつながるとして、全ての人が救われることを願って仏法を広めていく大切さを強調。法華経を信奉した宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」との言葉は普回向の精神に通じていると述べ、ここに示された志を持って「精進してまいりましょう」と語り掛けた。